本当は怖い住宅ローン

住宅を購入する場合は、キャッシュで購入する人は少なく、ほとんどの人が「住宅ローン」を利用することになると思います。
また、住宅ローンは主に、銀行や住宅金融支援機構などを利用する人が多く、
「消費者金融やカードローンは怖いが、住宅ローンは安心安全」
というイメージを持っている方も多いと思います。
もちろん、住宅ローンは、基本的に低金利の長期分割ですし、銀行や住宅金融支援機構といった組織も安心安全であることは間違いありませんが、場合によっては、住宅ローンは消費者金融以上に怖い存在になるのもまた事実です。

 

【家計を一番圧迫しているのは】

家計の収入と支出のチェックをすればよくわかりますが、どこの家庭でも支出において住宅ローンが占める割合はかなり高くなっていると思います。
一般的に毎月10万円前後の出費、ケースによっては、ボーナス時にさらにプラスアルファの出費といったところでしょう。

筆者はかつて、消費者金融で勤務していましたが、仕事柄、家計の収支相談や顧客の返済計画の立て直し相談に乗る機会も多くありました。
家計の支出を抑えて、返済計画を立て直すことは、現実的にはなかなか難しく、電気、ガス、水道などライフラインの費用は確保しなければなりません。
小遣いや交際費、タバコ代などは、正直いくら抑えたところで、焼け石に水といったところです。
また、消費者金融の支払いは、各社もともと、かなり少額の設定なので、これ以上、減らすことは現実的には困難です。
結論として、やはり一番家計を圧迫しているのは、「住宅ローン」であり、ここをリスケジュールしないとどうにもならないという方が多かったというのが現実です。
しかし、銀行も簡単にリスケジュールに応じてくれるわけでもないので、なかなか立て直しを図ることは困難なことでした。
(もちろんリスケジュールに対応してくれる銀行などもあります。)

 

【放置すれば粛々と競売へ】

改正貸金業法施行後は、不動産担保で年収の3分1を超える貸出しをする際は、居宅を担保にすることが出来なくなったこともあり、不動産ローンを積極的に取り組んでいる消費者金融会社は少なくなりました。
しかし、かつては、消費者金融会社も不動産担保ローンを手掛けているところが多くありました。
もちろん不動産担保ローンというからには、不動産に、抵当権や根抵当権を設定したうえで融資をするわけですが、大概の不動産には、既に第一順位として、住宅ローンを組んでいる銀行などが抵当権を設定しています。
住宅ローンの残債がその不動産の評価を上回っていることも多く、実質、担保価値があまりない不動産にとりあえず抵当権を設定しただけで、信用貸しの延長という内容の債権も多くありました。

このように、消費者金融の不動産担保ローンは、そもそも担保に余力がないことが多いので、仮に不良債権化して、競売にかけても、配当は0円という結果が目に見えています。
消費者金融としては、そのようなことをするよりも、債務者と和解(話し合い)をして、入金を促した方が得策です。
このため、交渉戦術として、「競売にかける」という書面を送付したり、話をすることはあるにせよ、よほどでなければ、消費者金融会社が競売にかけることはありません。
つまり、消費者金融会社の不動産担保ローンは、話し合いに応じてくれる可能性は十分にあるということです。

しかし、銀行の住宅ローンを滞納した場合は、こうはいきません。
仮に住宅ローンの残高が落札価格を上回っているため、競売にかけても回収しきれなかったとしても、銀行は保証会社から代位弁済を受けられるので、放置しておけば、競売まで手続きは進められることになります。
もちろん、実際に競売に至るまでは、予告書面などの送付も有り、いきなり競売となるわけではありませんが、タカをくくっていると、本当に、粛々と競売にかけられてしまいます。

 

【不動産の購入は冷静に判断】

このように、筆者は、返済計画が破綻するそもそもの原因は、無理な「住宅ローン」にもあると考えています。
一般的には、持ち家の方が賃貸よりも属性が良いとされていますが、実は、持ち家の人の方が、収支が回っていないということもよくあります。
それでも住宅ローンは、カードローンや消費者金融のように社会悪として叩かれることはありません。
それどころか、個人再生手続きでは、住宅ローン以外の借金は、最大80%減額させられますが、住宅ローンの支払いはそのまま継続させて、マイホームを手放さずに負債を整理することも可能になっている(住宅資金特別条項)ことには、いささか矛盾すら感じます。
国土の狭い日本では、不動産を所有することに、過度の憧れと願望があり、ステータスとなっている向きがあります。
しかし、そこまで無理をして不動産を購入する意味があるのかどうかを冷静に検討することも必要かもしれません。

投稿者プロフィール

ShibataMasaru
ShibataMasaru金融専門記者
自らもかつて貸金業に従事。現在は金融情報専門のライターとして精力的に情報の収集及び当サイトを含め多数のサイトで執筆を担当。

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