キャッシング業界の歩み

現在、キャッシング業界は、銀行、消費者金融、信販系カードなど様々な業態が参入していますが、かつて、個人消費者への無担保融資は消費者金融の専門領域でした。
また、この業界につきものだった、「高金利」、「強引な取立」といったネガティブなイメージも今ではだいぶ払拭されてきています。
このように、現在は、業界を取り巻く環境が大きく変わってきています。
今回は、キャッシング業界のこれまでの歩みをまとめてみました。

【サラ金問題が社会問題化した時代があった】

個人向け無担保融資はかつて、サラリーマン金融を略して「サラ金」と呼ばれ、その高金利や乱暴な取り立てによって自殺者がでるなど社会問題化していた時代がありました。
1960年代から70年代のころのことです。
当時は、貸金業者を規制する法律もなく、上限金利も年率109.5%と、今では、考えられないような高金利でした。
そのような中、昭和58年に「貸金業の規制に関する法律」が成立し、それまで届出制であった貸金業者は登録制になり、「取立規制」、「書面交付義務」などの規制が設けられました。また、金利についても、当時109.5%であった出資法上限金利を段階的に引き下げることも決まりました。貸金業規制法は、その後、何度か法改正を経て、現在の貸金業法につながっています。

【無人契約機が登場】

平成5年に、大手消費者金融のアコムが無人契約機「むじんくん」を設置したことに端を発し、業界では、無人契約機ブームが起きました。
各消費者金融会社は親しみやすいユニークな名前を無人契約機に付けたり(プロミスのいらっしゃいましーん、アイフルのお自動さん、レイクのひとりででき太、などが有名です。)
、タレントを起用したテレビCMも積極的に行うようになりました。
それまでの「サラ金」というネガティブなイメージを払拭し、キャッシングをより身近なものにすることに大いに役立ちました。
消費者金融という呼称が世の中に定着したのもこのくらいの時期からです。

【貸金業法の改正】

消費者金融は、業界のイメージ戦略によって、世間で認知されるようになりましたが、「ヤミ金問題」、「多重債務問題」は深刻な社会問題となっており、個人の自己破産の申立て件数も平成15年には242,000件以上となりピークを迎えました。

そのような問題を受けて、貸金業法は以下のような改正が行われました。
●平成15年改正
・「ヤミ金対策法」として、違反に対する罰則が強化された。
・貸金業務取扱主任者制度が創設された。
・施行後3年を目途に見直しを行うとされた。
●平成18年改正
利息制限法、出資法の改正も合わせて行われ、今の改正貸金業法につながる、大改正が行われました。上限金利の引き下げ、総量規制の導入を含め、平成22年6月の完全施行に向けて、4段階に分けて法律が施行されることが決まりました。

【過払い返還ブーム】

平成18年に過払い金が認められる最高裁判決が出て以降、弁護士、司法書士による「過払バブル」が起きました。「払い過ぎた利息は取り戻せます」といった、弁護士、司法書士のコマーシャルは、現在でも続いています。
この過払バブルと、法改正によって、消費者金融は大打撃を受けました。
実際に平成18年度末で11,832社あった業者数は、平成27年度末では1,926社と6分の1以下に減少しましました。

【銀行カードローンの活躍】

銀行カードローンは、貸金業法の改正と過払いバブルによって減少した消費者金融に代わり近年、急成長してきました。
それ以前の銀行は、事業者向け融資や目的ローンが中心で、使途自由の個人向け融資においては、消費者金融に譲っていた状況でした。
しかし、消費者金融会社を保証会社にすることによって、銀行ブランドの高い信用力と消費者金融の無担保融資のノウハウが合体した、いいとこ取りの商品を提供できるようになりました。また、銀行カードローンは、貸金業法の適用を受けないので、総量規制にとらわれることなく、相対的に信用の高い顧客に融資することが可能となっています。
融資残高も2016年3月末には、ついに消費者金融やカード会社など貸金業者の残高を上回るようになりました。

【これからのキャッシング業界】

このようにキャッシング業界は、ある意味、激動の時代を乗り越えて、健全化の方向で変化してきました。
現在、生き残って営業を続けている消費者金融はこのような厳しい状況を乗り越えてきた、健全経営の資金力の強い会社だと言えます。現在も大手消費者金融を中心に、書面のやり取りが不要なWEB完結など、新たな顧客サービスも始まっています。
銀行カードローンは、業界の新たな担い手として、今後もますます発展が期待できます。
都市銀行だけでなく、最近は地方銀行の活躍も目立ってきています。
ただし、最近では銀行カードローンの過剰融資も問題視されてきています。消費者金融のように法律で規制がかかる前に、業界の自主規制等によって、健全な市場を維持していけるよう期待します。

投稿者プロフィール

ShibataMasaru
ShibataMasaru金融専門記者
自らもかつて貸金業に従事。現在は金融情報専門のライターとして精力的に情報の収集及び当サイトを含め多数のサイトで執筆を担当。

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