LINE Pocket Money(LINEポケットマネー)

ラインポケットマネー
実質年率3.018.0
最大ご利用限度額 5万円~ 100万円 
総合評価 4.6
消費者金融 LINEスコア 消費者金融

概要

LINEはいまや日本で一番使われているコミュニケーション・アプリですが、そのLINEグループのLINE Credit株式会社(LINEクレジット)から、2019年8月29日、新たに個人向け少額ローンサービスが開始されました。
それが「LINE Pocket Money」(LINEポケットマネー)です。

最大の特徴は、従来の与信審査に加えて、LINEクレジットの信用スコアである「LINE Score」(LINEスコア)のビッグデータを使ってAI審査が活用されることです。

従来の与信審査にこの信用スコアを掛け合わせることで、より実態に合った評価が可能になり、利用者に合わせた貸付利率と融資限度額が提供できるということです。
(このようなスコア審査によるキャッシングは、既にみずほ銀行とソフトバンクが共同出資で設立したJ.Score(ジェイスコア)でも採用されていますが、イメージは同じです。)
※2019年11月にヤフー(Yahoo! Japan)親会社のZホールディングスとLINEの経営統合が発表されました。合併のプロセスは2020年10月までに順次実行される予定ですが、合併完了後、最終的にはZホールディングスの親会社がソフトバンクであることからも、J.Score(ジェイスコア)とLINEスコアの信用情報は共有される可能性が高いと思われます。

また、LINEアプリ上で申込み、借入れ、返済まで全てのサービスが完結でき、書類送付や窓口契約も一切不要というのも魅力です。
LINEポケットマネーは、まずは先行して「アンドロイド」でリリースされていましたが、2019年9月2日にiOS版がリリースされ、現在、アンドロイド・iOSのどちらでも利用できるようになっています。

 

 

商品性

【貸付条件】

LINEポケットマネーの貸付条件は主なもので、以下のようになっています。

〇融資対象者:「LINEアカウント」「LINEペイ」のLINEマネーアカウントに登録済で、20歳以上満66歳未満で、安定かつ継続した収入が見込める方
〇契約極度額:5万~100万円(5万円単位)
〇貸付利率:実質年率3.0~18.0%
〇遅延損害金:実質年率20.0%
〇資金使途:生計費融資のみ(事業費融資は不可)
〇借入方法:借入金額をLINEペイ残高にチャージ
〇返済方法:LINEペイ残高より引落し
〇返済期間:契約極度額30万円以下は1~36回(ヶ月)、30万円超は1~60回(ヶ月)

このように貸付条件自体は、一般的なカードローンのそれとさほど違いはありません。
但し他社とは違った次のような特徴で差別化を図っています。

① LINEアプリで申込みから借入れ返済まで全てのサービスが完結できる。
→電話で人と話す必要はありません。
② 書類送付も窓口契約も一切不要。
→アプリ上で本人確認書類の提出は必要ですが、郵送や窓口での対応はありません。
③ LINEペイに即チャージ可能。(LINE上で借入れてLINEペイですぐに決裁可能)
→融資が決まれば、LINE Payの残高に借入金額がチャージされるのですぐに決済可能です。

【LINEポケットマネーは貸金業】

勘違いしている人も多いのですが、LINEポケットマネーは貸金業法が適用される商品に該当するので、消費者金融同様に「総量規制」(年収の3分の1を超える貸付規制)が適用されます。
そのため学生や主婦でもアルバイトをしていれば申込みが可能ですが、完全な無職無収入の方は利用することが出来ません。

※キャッシングには貸金業法の適用を受ける貸金業者からの借入れ(消費者金融など)と、貸金業法の適用を受けない借入れ(銀行カードローンなど)があります。
貸金業者は総量規制によって、原則、年収の3分の1を超える貸出しは禁止されています。

 

審査

【従来型の審査に加えたスコア審査が特徴】

LINEポケットマネーを提供している、LINEクレジットは、「LINEフィナンシャル」と「みずほ銀行」、「オリエントコーポレーション」の3社による合弁会社なので、与信審査においては、みずほ銀行、最終的にはみずほ銀行のカードローンの審査をするオリエントコーポレーションがノウハウを提供することになります。
(保証会社もオリエントコーポレーションになります。)

ちなみにみずほ銀行の商品「みずほ銀行カードローン」の審査要項は下記になります。

・満20歳以上満66歳未満の人
・安定した収入の見込める人
・保証会社の保証を受けられる人

また実際にはみずほ銀行カードローンの審査をするのは保証会社のオリエントコーポレーションになります。
オリエントコーポレーションは、在籍確認が必須ではないため(在籍確認が無いわけではありません。)、審査はそれほど厳しくはありません。
大手銀行のカードローンよりも比較的審査は通りやすいようです。
しかしそれは従来の信用情報や属性による審査においてのことです。

LINEポケットマネーの審査の最大の特徴は、従来型の審査に加えてLINEスコアというAI(人工知能)を活用した与信を行っていることです。
LINEスコアとは、LINEやLINEに関連するアプリ・ゲーム等を通じた個人の行動からユーザーの信用度、言い替えると融資時の「信用リスク」を算出する機能です。
これによって融資の可否のみならず、金利や融資額までが決定されます。
AI(人工知能)信用スコアで先行しているJ.Score(ジェイスコア)の審査は従来型の審査で低与信と判断された方でも比較的高額な限度額が出る傾向があります。

理由としては、従来の信用情報機関が把握している以上にリアルタイムの行動履歴(生活履歴)が把握できるからです。
またその行動履歴はSNSから推測される為、リアルな人間関係でのコミュニケーションに利用されているLINEでは誤魔化すことが難しいと言えます。
またその交友相手の信用スコアや普段自分が興味を持って読んだり検索したりする内容など、あらゆる情報がAIによって分析されます。
このことは一見不安を感じるかもしれませんが、実は信用情報機関以上の自分の信用度を証明することも可能になるわけです。
毎日規則正しく無難に生活していることが、実は高い信用スコアになることもあるのです。

このことからもLINEポケットマネーも、同様に従来型の審査で信用が低いと評価されていた方によりよい条件で融資が可能となることが期待出来ます。

【LINEペイの「LINEマネーアカウント」とは?】

LINEポケットマネーを利用するには、LINE Payのアカウントタイプが「LINEマネー」の方限定になります。
LINE Payを利用している場合、「LINEキャッシュ」か「LINEマネー」のいずれかの状態であるはずです。
上記の違いは「本人認証をしているかどうか」という点です。
「LINEキャッシュ」のままの方は、本人確認登録を行い「LINEマネー」の状態にする必要があります。

【LINEスコアの診断が必須】

ポケットマネーを利用するには、まずはLINEスコア診断をすることが必要です。

LINEスコアはLINEウォレットからスコアを選択すると開始することができます。
そしてライフスタイルに関する15の質問に回答すると、100点から最大1000点までスコアが上がります。
(LINEスコアが300点以下の場合はLINEポケットマネーの申込みは出来ません。)

なぜ最低100点なのかというと、実はスコアを計測する以前に初期点数として100点~150点が付与されます。
その為、解答結果による取得点数は200点(~150点)以上あれば合格となります。
(ただし金利や融資額の点から、最終のスコア結果は高ければ高いほど良いと言えます。)
初期点数が何で決定されるか明確はされていませんが、LINEおよび各グループ会社のサービス利用状況に関する情報を分析しスコアを算出する、となっています。
このことから推測すると、例えば

・LINEアプリによる日常の活動や発言
・LINE家計簿による世帯の収支内容
・LINEブログによる趣味・思考や生活内容
・LINEニュースによる情報収集内容
・LINEカーナビによる行動履歴
・LINEゲームの利用状況
・LINEノベルによる思想

などさまざまなLINEのアプリケーションから情報が取得され、初期点数が決まると思われます。
(単純に多くのアプリを利用していればよいといった話ではなく、その利用内容が問われることになるはずです。)
また上記のようなLINEサービスを利用したスコアは週一回更新されます。
日常のLINEサービスの利用の仕方でスコアアップも可能ということです。

LINEスコアの質問内容は以下の通りです。
※2019年10月時点の情報です。

1.生年月日を教えてください
2.性別を教えてください
3.ご結婚はされていますか?
4.お子様はいらっしゃいますか?(扶養している方のみ)
5.お住まいの住居タイプについて教えてください
6.お住まいの住居の所有状況について教えてください
7.現在の住居にはいつから入居されていますか?
8.同居されているご家族の人数を教えてください(ご本人は除く)
9.現在の勤務形態を教えてください
10.現在のお勤めの職種を教えてください
11.現在のお勤めの業種を教えてください
12.現在の会社にはいつからお勤めですか?
13.現在お勤めの企業規模に最も近いものを選択してください
14.昨年のおおよその年収について教えてください
15.保険証種別について教えてください

質問項目については、同じくスコア審査を採用しているJ.Score(ジェイスコア)の質問がもっと個人の趣味趣向を探る内容なのに対して、LINEスコアの質問は、単に属性を確認しているだけのようにも感じられます。
趣味趣向や性癖といった部分に関しては、わざわざ質問せずともLINEサービスの利用履歴から推測できるということかもしれません。

またこれらの15項目の質問には正しく回答することが大切です。
事前の初期点数時に取得されている情報と不一致な項目が多いと審査で不利になるからです。

全ての質問に回答し終わると、初期点数を加えたスコア点数が表示され、「 ○○%の年率で〇〇円まで申込み可能です。※仮条件」とスコアに応じた金利と限度額の条件が提示されます。
但し、これはあくまで仮条件なので、実際に契約する際は金利が上がってしまうケースもあります。

また、スコアの点数についても、ここで表示されたものが最終の点数ではなく、LINEの各種サービスを利用することでスコアアップしてゆきます。
スコアが確定したら、LINE上で本人確認書類を提出して審査必要事項の入力をするという流れです。

LINEポケットマネーは、LINEユーザーであればとても手軽に申し込み・利用が可能です。
とはいえやはりそれなりの金利は発生します。融資額1円から使えるとはいえ、過度の利用や返済に関してはしっかりと管理することが必要です。
不要な融資は避けること。

また融資を受けた場合は、当然返済しなければなりません。
返済日にLINE PayかLINE Payに連携させた銀行口座に返済額以上のお金があれば、自動的に返済されます。
返済日には忘れずに残高の確認を心掛けてください。

【リリース記念の大規模キャンペーンについて】

LINEクレジットではLINEポケットマネーのリリースを記念して、「先着10万名様に1,000円相当のLINEペイ残高をプレゼント」という1億円規模のキャンペーンを実施しています。
(2019年8月29日~2019年10月31日)
※本キャンペーンは終了しています。

参加するには、
① LINEスコアで診断する
② LINEポケットマネーに申込む
③ 審査完了後、LINEポケットマネーを契約する
の手順を踏む必要があります。

但し、この大規模キャンペーンに対しては、国民的に浸透したSNSが多重債務を増やす可能性があることを大々的に行うのはいかがなものかという厳しい意見もあります。

業界では、消費者金融に続いて銀行カードローンが過剰融資問題で叩かれたことも記憶に新しいところです。
LINEポケットマネーのような商品は、キャッシングの新たな可能性を秘めていることは間違いないので、“やり過ぎて潰されることがないよう”、くれぐれも慎重な営業を期待したいところです。

※追記(2020年11月10日)
LINEポケットマネーは、2020年1月21日に東京都より業務改善命令の行政処分を受けました。
処分項目は以下の通りです。

①過剰貸付け等の禁止違反及び返済能力の調査義務違反
・システムの不具合により一部顧客より収入証明の提供を受けていなかった。
②業務運営に関する措置義務違反
・顧客に関する情報の漏えいを防止するための適正な措置を講じていなかった。

これについて運営会社のLINE クレジットは、既に再発防止策として、
①過剰貸付けの契約が行われていないこと、また返済能力の調査が正しく行われていることに係る継続モニタリングの実施およびシステム開発体制の見直し
②個人情報の取扱いにかかる業務フローの見直しや、社員教育等を含む情報管理態勢の強化
を講じており、現在問題なく営業を続けています。

前述したように、LINEポケットマネーのような商品はキャッシングの新たな可能性を秘めており、ひいては業界全体の発展にもつながってゆくはずです。
今後、「勇み足」にならぬよう、慎重な営業を期待したいところです。

投稿者プロフィール

Itaru.Taguchi
Itaru.Taguchiライター
多数のサイトでライターを務める。特に専門分野はないがここ数年は金融情勢に関する取材依頼が多く、金融関係の執筆が多い。