「はれのひ」事件から学ぶクレジット利用の優位性

2018年1月8日、成人式の日に、着物の販売、レンタル事業を手がける「はれのひ」が、突如、営業停止したことにより、予約していた新成人の方達が成人式に晴れ着を着られなくなってしまった問題が報道で大きく取り上げられました。

代金として支払った金額は1人当たり30万円から90万円ほどとのことで、支払いは、現金の他、クレジットカードで決済した人も多かったようです。
被害にあった方は、今後、支払った代金の返金があるのかということも非常に大きな問題だと思います。

今回はキャッシングとは直接関係ありませんが、
・「はれのひ」事件の今後の展開予測
・代金返金の可能性
・クレジット利用の優位性
についてまとめました。

 

「はれのひ」の今後の展開は

被害にあった方には誠にお気の毒に感じますが、この手の事件が、円満に解決することはまずありません。
この記事を書いている2018年1月10日時点でも、「はれのひ」の代表者である篠崎洋一郎氏は行方をくらましたままです。

報道によれば、「はれのひ」は、着物卸会社への支払いも1年以前から滞っており、従業員への給料支払いも遅れていたようで、資金繰りはかなり悪化していた様子が伺えます。

その上、これだけ世間を騒がせてしまっては、事業継続は実質、不可能でしょう。
早晩、弁護士等を立てて、法人及び個人の自己破産という流れが予想されます。

また、現在、着物業界誌の「きものと宝飾社」が中心となって「はれのひ株式会社被害者の会」を立ち上げていますが、「はれのひ」や代表者個人に支払い能力がない以上、そこから損害賠償金を回収することはかなり困難です。

詐欺による告訴を検討しても、詐欺を立証することは難しく、仮に立証されて、代表者等が逮捕さてもお金が返ってくるわけではありません。
このように、たとえ被害者の会が発足しても、現実的には、なかなか有効な手立ては見いだせないと思われます。

 

支払い代金返金の可能性

※現金払いの場合

先方に支払い能力がない以上、現金で支払った代金の返金は限りなく難しいでしょう。
まして、自己破産の申請をして免責が決定してしまえば、そもそも返金する必要もなくなります。
まことに腹立たしいことですが、現金で支払いをしていた人は、回収はほぼ不可能と考えざるを得ません。

※クレジット払いの場合

対してクレジット払いに関しては、返金の可能性があります。
クレジットには「支払い停止の抗弁権」というルールがあります。
これは、販売業者に問題が生じている場合、その問題を主張して、クレジット会社への支払いを拒否する権利のことです。

クレジットの支払い期日がまだ到来していない人は、即刻、クレジット会社に「支払い停止の抗弁」の主張を行ってください。

原則、「支払い停止の抗弁書」という書面の提出が必要になりますが、まずは、カード会社に連絡して内容を伝えることが先決です。

また、すでにクレジット会社への支払いが完了してしまっている人についても、カード会社から返金してもらえる可能性もあります。

もちろん返金すれば、そのお金はカード会社が負担することになるので、これはカード会社の対応によるといったことになります。
但し、記憶に新しい「てるみくらぶ」の事件においても、返金に応じたカード会社も多く、今回も問い合わせする価値は十分にあります。
また、カード会社によっては保険が適用される可能性もあるようです。

 

クレジットを利用することの優位性

今回のようなケースでは、現金で支払った場合には、ほぼ返金の可能性はないことに対して、クレジットの場合は返金の可能性が残されています。

これは、現金決済の場合は、販売店と客との二者間の問題なので、販売店に支払い能力がなければ回収出来なくなってしまいますが、クレジット決済の場合は、そこにクレジット会社を巻き込むことが出来ることが大きなポイントです。

普段、あまり意識することはありませんが、私たちが、日々、取引している販売店には、倒産リスクというものがあります。
対してクレジット会社は、企業体のしっかりした大会社であることがほとんどで、倒産リスクは販売店に比べて少なくなっています。

カード会社には、大企業としての社会的立場があるので、問題発生時には、損失覚悟で、消費者救済に乗り出すことも少なくありません。
また、カード会社に対して、「加盟店管理」という責任追及も出来ます。
これは、クレジットカードだけでなく、ショッピングクレジットも同様です。

クレジットを利用することには、支払いを先延ばしするだけでなく、いざという時、このような優位性もあることは是非、覚えておいた方が良いでしょう。

 

ライターから一言
クレジット会社は基本的に「消費者保護」の立場をとっています。
販売店とトラブルが発生しても、クレジット取引であれば、クレジット会社を巻き込むことで解決する可能性がかなり高くなります。

 

※追記(2018年1月14日)
「はれのひ」のクレジット利用については、所轄官庁である、経済産業省からも、各クレジット会社に対して、「お客様の利益に配慮した柔軟かつ丁寧な対応をするように」との要請も出ております。
「はれのひ」でクレジット契約をされた方は、まずは、クレジット会社に連絡をして相談して下さい。
また、クレジット会社で話がまとまらない場合は、下記相談窓口に相談して下さい。

一般社団法人日本クレジット協会の消費者相談専用電話
03-5645-3361
受付時間:月曜日~金曜日 10:00~12:00/13:00~17:00
(ただし、祝日および年末年始を除く)

※関連記事:「はれのひ」騒動について今、新成人に伝えたいこと

投稿者プロフィール

MiyakeSeiya
MiyakeSeiya編集者・ライター
主にサイトの編集を担当するが、記事の執筆も行う。某銀行に勤務していたが脱サラ。金融関連の出版社との馴染みが深く、金融業界の知識も豊富。

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