紀州のドン・ファン経営の消費者金融の実態に迫る!

最近、「紀州のドン・ファン」こと野崎幸助氏の怪死事件について、連日、ワイドショーや報道で取り上げられ、世間を騒がせています。

この野崎幸助氏は、美女4,000人にのべ30億円を貢いできたと公言したり、大金持ちであることを公言してはばからなかったようですが、財を成したのは、消費者金融(街金)の経営がきっかけだったようです。

ただ、この野崎氏が経営していた街金は、調べてみるとかなり独特の営業スタイルだったようで、今回の事件とは全く関係ありませんがまとめてみました。

(関連記事:紀州のドン・ファンの会社の登記情報を調べてみた!

 

【どんな会社?】

※会社概要

野崎氏の経営していた会社は、和歌山県田辺市にある「株式会社アプリコ」です。
貸金業(街金経営)から、不動産業、酒類販売、梅干製造販売?まで行っている多角経営でした。

※いつまで営業してた?

報道で有名になるまでは、筆者も正直この会社はノーチェックでした。
このため街金経営に関しては、いつまで営業していたのかなど詳しい情報はよくわかりません。
ネット上でも、
・改正貸金業法施行(2010年6月)に伴い廃業した
・最近まで貸出ししていた
などやや情報が錯綜しています。

貸金業の指定信用情報機関である、㈱日本信用情報機構(JICC)の「信用情報提供を終了した貸金業者一覧」で2012年1月以降に提携終了した業者がわかりますが、ここに社名が出ていないので少なくとも2012年よりも前には廃業していたということになります。
最近まで営業していたというのは考えられません。

改正貸金業法施行によって規制が強化され、この手の「街金」は、ほぼ淘汰されたので、改正貸金業法施行前に廃業していたと考えるのが妥当です。

 

【独特な営業スタイル】

アプリコの一風変わった営業スタイルを、ネット上のうわさも含めてまとめてみました。

① 属性の良い客しか相手にしない!?

野崎氏と生前、親交があったデヴィ夫人の証言によると、
「公務員で年収1,200万円以上の収入がある人にしか融資をしていなかった」
とのことです。
また、持ち家にしか融資していなかったとのネット情報もあります。
本当にこの基準の人にしか貸していなかったかどうかはともかく、客は属性の良い方に限定していたようです。

果たしてそんなことが出来るのか知り合いの消費者金融社員に聞いてみたところ、
「そんな客、申込者の1%もおらへん。そんな客ばかりなら苦労せんわ!」
と一蹴されてしまいました。
拡大路線を採用していない街金ならではの融資方法でしょう。

② 融資時に公正証書を取得したり、直ぐ訴訟をする!?

これは、アプリコに限ったことではありません。
今では法律で規制されて厳しくなっていますが、かつて公正証書は、嘱託委任状と印鑑証明書があれば、簡単に作成できたので、融資の際に、委任状を取っておくことは珍しくありませんでした。
訴訟も、公務員や大企業に勤務している人であれば、効果てきめんなので、どこの会社も、今でもそのような属性の良い方を中心に訴訟をしています。

③ 東京でティッシュ配ってた!?

別に違法なことではありません。拡大路線をとっていないが、貸出し地域は全国区だったということでしょう。

④ 客には年賀状が届く!?

これはよくわかりませんが、事実であってもご愛嬌でしょう。

 

【取り立て方法に問題あり!】

アプリコには、独特の営業スタイルだけでなく、適切な取り立て行為を行っていなかったとのうわさもあります。
・弁護士介入した客に取り立て行為を行った
・破産した客に取り立て行為を行った
等々です。

これも法改正前の街金であれば、有り得ない話ではありません。
アイフルや日栄などの大会社はともかく、正直、一街金業者の取り立てが多少乱暴でも、あまり話題にはなりません。

 

【過払い返還対応は謎!?】

ちょっと疑問なのは、「過払い金返還」についての対応です。
アプリコは法改正前に営業していた会社なので、必ず、過払い金問題がついて回ります。

しかも、野崎氏はメディアや著書で、「1億円なんて紙切れ」などと吹いているので、弁護士が介入した際に、過払いを払い渋ることもなかなか通用しないでしょう。
かといってまともに支払っていたら、この規模の街金は潰れてしまいます。

実際、過払いで介入した弁護士は、話がまとまらないと、すぐ訴訟をおこして、判決をとって差押えに入ります。
会社名義の預金口座などは、すぐ差押えされてしまいます。

街金に対しては、一般企業の会社と違い、後の禍を危惧して、過払返還をかける人が少ないのかもしれません。

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投稿者プロフィール

ShibataMasaru
ShibataMasaru金融専門記者
自らもかつて貸金業に従事。その経験を活かして現在は金融情報専門のライターとして精力的に活動中。幅広い人脈を活用した情報取集力には定評がある。
当サイトを含め多数のサイトで執筆を担当。

4 件のコメントがあります。

“紀州のドン・ファン経営の消費者金融の実態に迫る!”

  1. 和歌山のアプリコに関する質問です。
    アプリコには野崎幸助の事件前から借り入れがあり、いまだに返済し続けています。
    残高を知りたく電話しましたが、つながりません。記事によると廃業したともありますが、返済の必要はあるのでしょうか?
    どこに問い合わせすれば、きちんとした回答が得られるのでしょうか?
    アプリコは返済が滞ったり、弁護士などをたてるとすぐに差し押さえ手続きする業者だと聞いていますので不安です。

  2. ごんきちさんに返信です。はじめまして。
    アプリコは和歌山県知事登録の貸金業者だったので、廃業に関する事実確認は、和歌山県の「商工観光労働部商工労働政策局商工観光労働総務課」(073-441-2720)にするのが一番確実です。

    ここに電話をかけて、アプリコの利用者で未だに返済を続けている事実を伝え、いつ廃業したのか、把握している連絡先はあるかなど確認することをおすすめします。
    (たとえ、廃業していても、「みなし貸金業者」として貸金業法などの関係法令が適用されます。よって、問い合わせ先は、管轄行政になります。)

    また、アプリコとの契約は、年率18.0%を超える金利で、これまで返済してきた期間も10年を超えるものではありませんか。
    もしそうであれば払い過ぎの状態で、「過払い金」が発生している可能性があります。
    そのような状態の中で先方から訴訟や差押えが入る可能性はほとんどないと思います。
    但し、過払い金返還請求については、現在のアプリコがまともに過払い金を返還しているとは思えないので、弁護士などに相談するのが無難です。

  3. ご回答いただきありがとうございました。まずは事実確認のため、教えていただいた連絡先に確認してみます。ありがとうございます。

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