【銀行カードローンの不良債権が増加】
『カードローンなど無担保融資の貸し倒れがメガバンクの火種になりつつある。』
そんな記事が、2018年6月21日付、日本経済新聞に掲載されていました。
記事によると、銀行カードローンの保証業務を担うノンバンク大手3社の貸倒関連費用が2017年度に、前年から13%増え、6年ぶりの高水準となったということです。
保証会社であるノンバンクは、銀行のグループ会社なので、その焦げ付きは、銀行の連結決算にはね返ることになります。
カードローン事業は、これまで高い収益性で、メガバンクの業績を下支えしてきましたが、一転して重荷となる可能性が出てきました。
【カードローン業界には「神の見えざる手」などなかった!?】
さもありなん。
実際、ここ数年間の銀行カードローンの伸ばし方はすさまじく、知り合いの金融関係者の言葉を借りれば、「ムチャ貸しのツケが回ってきた」ということでしょう。
銀行カードローンは、一時は、消費者金融に代わる新たな受け皿として期待されていましたが、結局は、かつての消費者金融同様、過剰融資によって、縮小傾向に舵を切ることになりそうです。
今のところ、銀行カードローンの過剰融資問題については、各行の自主ルールに委ねて、法改正にまでは至らないようです。
しかし、カードローンに関しては、「神の見えざる手」なるものは存在せず、自由競争に任せていては、バランスをとってゆくことは困難だということは、はっきりしたように思います。
【消費者金融の新たな試み】
銀行カードローンが縮小傾向に向かいつつある中、消費者金融では、新たな潮流が生まれてきています。
それは、審査にAIを導入するという試みです。
代表的なところでは、みずほ銀行とソフトバンクが共同出資した、「J.Score(ジェイスコア)」や、新生銀行グループの新たな消費者金融ブランドの「レイクALSA」がそれにあたります。
特に、「J.Score(ジェイスコア)」は、一見、審査に無関係と思われるようなライフスタイルに関する質問に回答したものを、ビッグデータとAI技術で分析、スコア化(点数化)され、適切な金利や契約限度額が提示されるという画期的なシステムです。
この試みの成功いかんによっては、今後、消費者金融の審査のあり方が、多きく変化することになるのかもしれません。
【審査の原点を忘れるな!】
しかし、筆者はあえてこの流れに対して、警鐘を鳴らします。
もちろんこのような新しい試みに、むやみに反対する意志は全くありません。
確かに、ビッグデータとAI技術を審査に導入すれば、数多くの申込みを効率よくさばくことができ、拡大路線を採用するには効果的なのかもしれません。
しかし、いわゆる「スコアリング機能」だけに頼った拡大路線は、一時の残高UPには有効でも、最終的には、世間の非難を浴びたうえ、不良債権が増加するという結果を招くことは、これまでの消費者金融と銀行カードローンの歴史が実証しています。
ここは、あえて「原点に立ちかえる」ということが必要ではないでしょうか。
もともと消費者金融は「対面融資」が基本でした。
属性審査はもちろんですが、本当に信用に値する人物かかどうか、担当者が面談して、値踏みをしたうえで融資をしてきた歴史があります。
もちろん、いまさら、来店、面談を推奨しているということではありません。
また、完全にそのようなスタイルに戻すことは不可能だと思います。
筆者が提言したいのは、スコアリングの結果だけに頼らず、最終的には、審査担当者による“目利き”が必要ではないかということです。
確かに、オートスコアリングを用いれば、いつ誰が見ても同じ基準で審査が出来るという、メリットがあり、審査は効率的かつ安定します。
言わば、レシピ化で、味と質が安定した、ファーストフードのチェーン店のようなものです。
しかし、ファーストフードと一流レストランとの違いのように、それに頼りきりでは、スキルの高い専門家を育成することは、到底出来ません。
「貸すときに、苦労して、しっかり審査した債権は簡単につぶれない。融資をする時こそ顧客管理を徹底しろ!」
ひと昔前の消費者金融では、このように社員を育成したものです。
この言葉を今一度、噛みしめる必要があるのではないでしょうか。
投稿者プロフィール

- 編集者・ライター
- 主にサイトの編集を担当するが、記事の執筆も行う。某銀行に勤務していたが脱サラ。金融関連の出版社との馴染みが深く、金融業界の知識も豊富。
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記事に反論するわけではないのですが、Jスコアやレイクアルサでは、ほかで借りられない人でも貸してくれる可能性はあるのでしょうか?
すでにプロミスとアコムから借りており、両方とも限度額をあげてもらえません。この状態では他社も難しいと考えていますが、どうでしょうか。
(延滞はしていません)
こんにちは。質問ありがとうございます。
結論から言えば、Jスコアやレイクアルサについては、アコム、プロミス、などで増額出来なくなった方でも申込みをする価値はあると思います。
ただ、Jスコアやレイクアルサが、アコムやプロミスより審査が甘いと言っているわけではありません。
例えばJスコアの審査は、一見審査に無関係な趣味趣向を聞いて、ビッグデータで解析して審査に運用するわけなので、従来の消費者金融とは、審査の観点がやや異なっているということになります。
そのため、他社の審査が通らない人でも審査に通る可能性は出てきますし、逆に、ケースによっては、他社の審査が通った人が審査に通らない可能性も有り得るということです。
他社延滞がなく、総量規制の範囲内であれば、申込みする価値は十分あると思います。
上手くいくことを願っています。