ショッピングクレジットをわかりやすく解説

キャッシングと似て非なるものに「ショッピングクレジット」があります。
直接、現金を融資するキャッシングに対して、ショッピングクレジットは、商品の購入代金やサービス提供代金を販売店に立替払いするシステムのことですが、実はその仕組みについてあまり詳しく理解していないという人も多いのではないでしょうか。
ここでは、そんなショッピングクレジットの仕組みについて、わかりやすく、ザックリ解説していきたいと思います。

 

ライターから一言
広い意味でクレジットカードのショッピングもショッピングクレジットにあたりますが、ここで解説するのは、クレジットカードを持っていなくても利用可能なショッピングクレジットです。

 

【利用できる販売店は】

ショッピングクレジットを利用できるのは、信販会社と提携している販売店に限定されます。(メジャーな信販会社としては、オリコ、ジャックス、SMBCファイナンスサービスなどがあります。)
ショッピングクレジットが利用できるかどうかは、直接販売店に確認するとよいでしょう。
販売店の種類も多種多様で、例えば、ネットショッピング、エステサロン、呉服販売など様々なものがあります。

また、中には、信販会社を通さなくても、販売店とお客の二者間で分割払い契約をする、「自社割賦」の仕組みを設けている販売店もありますが、当サイトでは、この仕組みの利用はあまりおすすめしません。(その理由は後述します。)

 

【分割金手数料の計算方法】

ショッピングクレジットを利用すると、基本的には、利用者が、分割金手数料を負担することになります。
分割金手数料の料率は、信販会社と販売店の間で提携時に取り決められています。
分割金手数料は通常、アドオン方式という計算方法が採用されています。
アドオン方式のイメージとしては以下のようになります。

例)
・販売価格20万円
・アドオン月利0.4%
・24回分割
の場合

●分割金手数料は、
20万円×0.4%×24回=19,200円

●合計返済額は、
20万円+19,200円=219,200円

●月々の返済額は、
初回9,900円(端数は初回で調整が一般的」
2回目以降9,100円

当たり前ですが、アドオン月利や、商品代金が、低ければ低いほど、顧客手数料は低くなります。

 

【分割金手数料が無料の場合もある】

前述したように、ショッピングクレジットは基本的には、分割金手数料は利用者負担ですが、中には、分割金手数料を販売店負担としているところもあります。(有名なところでいえば、「ジャパネットたかた」などがそうです。)
この場合、販売店は、顧客が本来支払うべき、分割金手数料相当分の金額を信販会社に支払うことになります。(実際は立替金から相殺されます。)

やはり、消費者にとって「分割金手数料無料」というインパクトは大きいので、分割金手数料を被っても売り上げは格段に上がります。
中には、最初から分割金手数料相当分を組み込んで、商品代金を設定しているような販売店もあります。

このような分割金手数料無料のサービスは、ジャパネットたかたのように全ての顧客に対してというスタイルだけではなく、販売店がどうしても売りたいと思っているお客に対して特別に開放するスタイルもあります。

 

【クーリングオフとは】

一旦、ショッピングクレジットでローンを組んでしまっても、特定商取引法の対象となる販売形態の場合、一定の期間であれば、無条件で契約の申込みを撤回したり、解除することができます。
いわゆる「クーリングオフ」です。
クーリングオフができる期間は販売形態によって異なります。

※契約書面受け取り後8日間
・訪問販売
・訪問購入
・電話勧誘販売
・特定継続的役務提供(エステ、美容医療、学習塾など)

※契約書面受け取り後20日間
・連鎖販売取引(いわゆる「マルチ商法」など)
・業務提供誘因販売取引(いわゆる「内職商法」など)

また、特定商取引法の対象とならない販売形態でも、トラブル回避のために、販売店が自主的にクーリングオフに応じている場合もあるので、販売店との売買契約書をよく確認しておきましょう。

 

【支払停止の抗弁という奥の手がある】

契約をなかったことにする方法は、クーリングオフだけではありません。
分割金手数料を含めた額が4万円以上のショッピングクレジットには、「支払停止の抗弁」という手続きが認められています。
これは、販売店との間に、トラブルが発生している場合、そのことを信販会社に申し出れば、問題が解決するまで、支払いを拒否することができる権利のことをいいます。

この申し出は、購入した商品が不良品だったということだけではなく、「強引な勧誘をされた」など勧誘方法や営業方法に関することでも大丈夫です。

支払停止の抗弁の申し出があった場合、信販会社は、販売店に状況調査をし、問題解決に向けて、尽力しなければなりません。
具体的には次のような流れになります。

 

 

実は、ショッピングクレジットで、この申し出が出た場合、それが、たとえ、お客の「いちゃもん」のような内容であっても、販売店が泣き寝入りを強いられて、解約となってしまうケースがほとんどなのです。

その理由は、ほとんどの場合、信販会社が販売店の味方をしてくれないからです。
昨今は消費者保護の風潮が強く、信販会社は監督官庁の手前、消費者保護という立場を取らざるを得ません。

そのため、支払停止の抗弁が出た場合、信販会社は販売店に対して、契約解除をチラつかせるなど、あらゆる方法で、解約を迫ってくるようになるのです。
このことは、利用者にとって相当有利に働くので、問題も早めに解決しやすくなります。
これはショッピングクレジットを組む大きなメリットだといえます。

また、支払停止の抗弁の申し出は、個人でもできますが、各地方公共団体が設置している、「消費生活センター」に相談して、そこを通して申し出ると、販売店や信販会社に“早期解決”というプレッシャーをよりかけられるので、効果は倍増することも覚えておくとよいでしょう。

但し、販売店とお客の二者間で分割払い契約をする、「自社割賦」の場合は、信販会社からプレッシャーをかけることができないので、問題解決に時間がかかってしまう可能性があります。

そのため、当サイトでは、自社割賦の利用よりもショッピングクレジットの利用をおすすめしています。

 

【現金決済よりもメリットは大きくなる場合もある】

このように、イマドキのショッピングクレジットは、消費者保護がかなり手厚くなっています。
特に、後々、販売店と商品や販売方法などでトラブった場合、信販会社を巻き込むことが出来るので、圧倒的に有利に交渉が進めやすくなります。

また、ボーナス一括、二括などの場合は、分割金手数料を無料としているケースがほとんどです。
考え方によっては、現金決済よりも、メリットは大きいかもしれません。

投稿者プロフィール

ShibataMasaru
ShibataMasaru金融専門記者
自らもかつて貸金業に従事。その経験を活かして現在は金融情報専門のライターとして精力的に活動中。幅広い人脈を活用した情報取集力には定評がある。
当サイトを含め多数のサイトで執筆を担当。

ご質問がありましたらお気軽にどうぞ。コメントもお待ちしております。

(質問の回答にはお時間をいただく場合がございます。)