JICC情報を徹底解説(その②「事故情報」について)

現在、国内に信用情報機関は、(株)日本信用情報機構(JICC)、(株)シー・アイ・シー(CIC)、全国銀行個人信用情報センターがありますが、キャッシング審査で最もよく利用されているのはJICCです。

もちろん、CICも貸金業法に基づく指定信用情報機関であり、キャッシング審査に利用することは出来ますが、業界では、キャッシングはJICC、ショッピングはCICを使い分けるというイメージが定着しています。

このようにJICC情報はキャッシング審査で重要視されていますが、JICC情報について熟知している人は、実は業界関係者以外ほとんどいないのではないでしょうか。

そこで当サイトでは、特集として、JICC情報について徹底解説してゆきたいと思います。
JICCについてより詳しく知りたい人は必見です。

【事故情報とは】

キャッシングの業界用語ですが、いわゆる「事故情報」という言葉があります。
信用情報機関に、延滞、法的手続き、自己破産などのネガティブ情報が掲載されており、情報が普通の状態ではないことを指します。

もちろん、キャッシング審査では、「事故情報」があった場合、審査が通過しなくなる可能性は高まります。
最近では、過去に自己破産をしていても、現在、支払い能力があると判断されれば、積極的に融資を実施している会社もありますが、現在、他社延滞中という場合は、まず審査は通過しないでしょう。

【異動情報と参考情報】

では、「事故情報」にはどのような種類があるのでしょうか。
JICC情報は、キャッシング情報の「ファイルD」と、ショッピングなどクレジット情報の「ファイルM」で構成されていますが、「ファイルD」の事故情報は、異動情報と参考情報に大別され、それぞれ以下のような定義になっています。

●異動情報(返済の延滞状況を表す)

●延滞
入金予定日から3カ月以上入金されなかったもの。

●延滞解消
「延滞」、「元金延滞」、「利息延滞」のいずれかが登録されていたが延滞状況が解消したもの。

●元金延滞
入金予定日から3カ月以上入金されなかったもの。(契約に基づき元金のみが延滞しているもの)

●利息延滞
入金予定日から3カ月以上入金されなかったもの。(契約に基づき利息のみが延滞しているもの)

●参考情報(法的手続き等の事由が発生したことを表す)

●債権回収
債権者(貸し手)が法的手続き等をとったもの。(訴訟、支払督促、強瀬執行、等々)

●債務整理
債務者(借り手)が債務整理行為をとったもの。(過払い返還のみは除く)

●破産申立
債務者(借り手)が裁判所へ自己破産を申立てたもの。

●特定調停
債務者(借り手)が裁判所に特定調停を申立てたもの。

●民事再生
債務者が裁判所に民事再生手続きを申立てたもの。

この他、参考情報には「保証履行」、「保証契約弁済」、「連帯保証人弁済」、「カード強制解約」、「支払抗弁中」などの事由もあります。
また、異動情報と参考情報は信用情報には並立して発生することもあります。

【事故情報の登録期間】

異動情報と参考情報が信用情報に登録される期間は以下のようになっています。

●異動情報

●延滞・・延滞継続中の期間
●延滞解消・・延滞解消の発生日から1年以内
●元本延滞・・延滞継続中の期間
●利息延滞・・延滞継続中の期間

※追記:契約日2019年10月1日より、JICCでは、CICと登録期間を合わせるために、「延滞解消」は、契約終了後5年間登録されることになります。(契約日が2019年9月30日以前であれば従来通り)

●参考情報

●債権回収・・情報の発生日から5年以内
●債務整理・・情報の発生日から5年以内
●破産申立・・情報の発生日から5年以内
●特定調停・・情報の発生日から5年以内
●民事再生・・情報の発生日から5年以内

※追記:契約日2019年10月1日より、JICCでは、CICと登録期間を合わせるために、「延滞解消」は、契約終了後5年間登録されることになります。(契約日が2019年9月30日以前であれば従来通り)

【こんな誤解が生じる可能性も】

このように異動情報と参考情報は登録期間に違いがあります。このため、信用情報に並立して表示されていても、どちらかの情報が先に抹消されているケースもあり得ます。

例えば、「延滞」という異動情報と「破産申立」という参考情報が並立して表示されることがあります。(3カ月以上、延滞が続いた結果、自己破産の申立てがあったということは、実際、よくあるケースです。)

本来、破産申立て後、免責許可決定が確定すれば、債権者はJICCにその債権の完済報告を行うことになっています。

しかし、免責が確定したという通知は、原則、裁判所から債権者には発送されないので、債権者が自ら裁判所に問い合わせをするか、弁護士、司法書士からその旨の通知がこなければ、債権者はそのことを知らないままになってしまいます。

そのため、本当は免責確定しているのに残高情報が残ったままになってしまっていることはよくあることです。

このように免責確定したことを知り得ず、5年経過すれば、「破産申立」という参考情報は抹消されてしまいます。

(※追記:2019年10月1日より、「破産申立」の情報は、契約終了後5年間に変更されました。よって、2019年10月1日以降契約分に関しては、このような勘違いはありません。)

しかし、「延滞」という異動情報と残高情報も残ったままになるので、一見すると、「長期延滞したまま全く返済がされていないという情報」になってしまいます。

前述したように、自己破産しても免責確定していれば、キャッシングの審査対象になることは有りますが、長期延滞者と判断されてしまった場合は、キャッシング審査はまず通過しません。

その信用情報が、「破産免責」か「延滞」なのかを見極めるのは、審査担当者の感性と経験に委ねるしかありません。
そのため、本来、審査対象者であったのに、運悪く、「延滞]と判断されてしまって、否決となってしまう人も少なからずいるでしょう。

このような誤解による、否決を防止するには、

①自己破産をしていることを申込み時に最初から自己申告する。
②自分自身の信用情報を開示して、誤った情報を修正する。

といった方法しかありません。

心当たりのある人は、注意して下さい。

投稿者プロフィール

ShibataMasaru
ShibataMasaru金融専門記者
自らもかつて貸金業に従事。その経験を活かして現在は金融情報専門のライターとして精力的に活動中。幅広い人脈を活用した情報取集力には定評がある。
当サイトを含め多数のサイトで執筆を担当。

18 件のコメントがあります。

“JICC情報を徹底解説(その②「事故情報」について)”

  1. はい。
    それが良いかと思います。
    無事、抹消出来ることを祈っています。

  2. ShibataMasaruさん
    あれから引田事務所と話しをして無事にJICCの記録消していただけました。相談乗っていただきありがとうございました。今後は住宅ローンが組めるように頑張っていきます。

  3. ご丁寧に返信ありがとうございます。
    良かったですね。
    またキャッシング、カードローン関連で何かあればいつでも質問してくださいね。

ご質問がありましたらお気軽にどうぞ。コメントもお待ちしております。

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