キャッシング会社の法的手続きとは

キャッシングを利用して返済せず放置すれば、法的処置を取られることがあります。

もちろん、そこに至るまでは、電話や書面、場合によっては訪問等の督促が何度か繰り返され、それでも解決がつかない場合のやむを得ない手段ということになります。

今回はキャッシング会社の法的手続きについてまとめてみました。

 

【法的手続きの目的】

①強制執行(差押え)による回収目的

キャッシング会社が法的手続きを行う目的は、いわゆる「強制執行(差押え)」によって債権回収を図るということがあげられます。

差押えの対象は、給料、預金、不動産、動産(家財道具など)と様々ですが、一番多いものは給料の差押えです。
最大で手取りの4分の1の金額まで差押え可能であり、勤務を続けている限り継続して回収可能なので、回収率が高く確実性があるからです。

よくひと昔前のドラマで、執行官が家財道具に赤紙を張って差押えするシーンが有りましたが、家財道具は二束三文で回収性は高くありません。

このため、最近は、動産執行まで行うキャッシング会社はあまりありません。

動産執行まで行うのは、回収性よりむしろ、債務者に対する心理的プレッシャーを与えることが目的のようにも思われます。

 

②和解目的

キャッシング会社が法的手続きを行うのは、強制執行だけが目的ではありません。

裁判所から書面を出すことによって、強制執行までしなくても、顧客の任意での支払いを促すことが出来ます。

通常の督促を無視し続けた人でも、裁判所から書面が届けば、慌てて、連絡や支払をする人も多くいます。

キャッシング会社の法的手続きは、強制執行目的より、むしろ、債務者との和解目的で行うものの方が多いと言えます。

このため強制執行するものがなにも見当たらない顧客に対しても、法的手続きは行われる可能性はあります。
 

【主な法的手続きの種類】

キャッシング会社が行う法的手続きは、主に以下の2種類です。

①貸金請求訴訟

読んで字のごとく、貸したお金の返済を求めて、キャッシング会社が裁判所に訴訟提起するものです。

多くの場合、顧客の所在地に関わらず、キャッシング会社の本社や営業店所在地の裁判所に申立てがされます。
(キャッシングの契約条項「合意管轄裁判所」に関する項目でそのように記されているケースが多い)
 

②支払督促

キャッシング会社の申立てた内容に沿って裁判所が支払いを命じる制度です。

内容に意義があれば2週間以内に異議申し立てをすることができ、その場合は民事訴訟に移行されます。
(管轄は、債務者が居住している地域の裁判所になります。)

支払督促にかかる費用は、訴訟した場合の半額です。

支払督促は費用は安いが意義がでると相手の居住地の裁判所を管轄とした訴訟になるので、営業店がない地域の顧客に申立てするのは遠方に出廷することになるリスクがあります。

このようなことを踏まえ、キャッシング会社が法的手続きを行う時は顧客や債権内容に応じて貸金請求訴訟と支払督促を使い分けて対応しています。

尚、法的手続きとしては、他にも、キャッシング会社から調停申立てや破産申立てをする方法もありますが、あまり一般的ではありません。
 

【債務名義の時効】

貸金請求訴訟は判決が出れば、支払督促は意義がでなければ「債務名義」が取得されます。

顧客と和解もできなく、差押え対象もない場合、この時点で一旦、手続きは終了になります。

しかし、なにも差押え対象がないからといって、借金の返済をしないまま放置することは、将来に禍根を残すことになります。

債務名義の時効は10年間なので、キャッシング会社は、現時点で目ぼしい差押え対象がなくても向こう10年間で差押え対象が判明すれば差押え可能ということになります。

10年間の間に生活環境も変化し、経済的にも立ち直っていることも多いですし、本人が忘れたころに現在の勤め先の給料を差押えされるということもあり得ます。

このようなことにならないよう放置は絶対にすべきではありません。

投稿者プロフィール

ShibataMasaru
ShibataMasaru金融専門記者
自らもかつて貸金業に従事。その経験を活かして現在は金融情報専門のライターとして精力的に活動中。幅広い人脈を活用した情報取集力には定評がある。
当サイトを含め多数のサイトで執筆を担当。

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