近年、コンプライアンス意識の高まりとともに、「消費者保護」の意識が企業に求められる
ようになってきています。
もちろん、これは、キャッシング業界も同様です。
金融の専門家に比べれば、一般消費者の知識や経験が劣っているのは当たり前のことで、そのような消費者の無知に付け込んで不当な契約をすることは禁止されています。
そもそも、改正貸金業法は、そのような消費者保護の観点から、改正されたものです。
また、法律を遵守することはもちろんですが、法律違反でなければ、何でもOKということではありません。
例え法律違反にあたらなくても、消費者保護の意識に欠けた営業をしている企業は、社会的に承認されないので、生き残ってゆくことは出来ないでしょう。
今回は、キャッシング業界の消費者保護に対する取り組みについてまとめてみました。
その逆に「クレーマー」的な消費者が増えてきています。
あまりに理不尽な要求は通りませんし、トラブル時の交渉はお互いに歩み寄りも大切です。
【契約自体の争いは起きにくい】
キャッシング取引は、そもそも、物販や役務(サービス提供)と違って、契約自体に争いが生じにくい商品だと言えます。
例えば、物販であれば、いわゆる「押し売り」や不良品の問題があります。
また、役務(サービス提供)であれば、最初に聞いていたサービスと違うといった問題が発生する可能性があります。
対して、キャッシングは、訪問販売のように「押し貸し」をすることもありません。
それに、お金の不良品ということも考えられません。
また、お金は、新品でも中古でも価値は変わりませんし、賞味期限のようなものもありません。
キャッシングは、貸した、借りた、の非常にシンプルな契約なので、契約成立自体に争いが生じにくいので、本来、消費者トラブルは起きにくいという見方もあります。
やはり、問題が発生するとすれば、回収業務に関してということになるでしょう。
【取り立て行為の苦情は減少傾向】
キャッシングで一番、苦情が発生しやすいのは、やはり「取り立て行為」のタイミングでしょう。
例えば、
・脅迫まがいの強引な取り立てをされた
・契約者以外に契約内容をバラされた
・他人に返済協力するよう強要された
などなど、ありがちなものは全て取り立て行為に関することです。
このような、強引な取り立て行為についての苦情は、ひと昔前、多かったのは事実ですが、近年は統計でも減少傾向にあります。
その背景には、改正貸金業法施行前後に、多くの、不良業者が淘汰されたということがあります。
現在、生き残っている正規登録業者で、荒っぽい取り立て行為をするような会社はほとんど見かけません。
【自然災害時の意識はかなり高まっている】
キャッシングでは、自然災害、入院、退職など、やむを得ない事情で、一時、返済が出来なくなることもあり得ます。
単に法律上のことで言えば、キャッシング会社が、そのことを理由に返済猶予をしなければならないという義務はありません。
しかし、このような場合には、顧客の事情を考慮して回収業務をすることが求められています。
特に、東日本大震災以降、自然災害に関しての意識は非常に高まってきており、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」が設けられ、災害救助法が適用された地域内の被災者の方には、適時、以下のような対応が求められています。
①被災者からの借入申込みや債務の支払条件の変更申込み等の相談等について、被災者 の要請内容や被災状況等の生活実態を踏まえて、きめ細かく丁寧に対応すること。
②督促等の回収業務にあたっては、特に被災状況等を十分に配慮したうえでカウンセリ ングを中心とした対応に努めること
近年では、各地で、地震、洪水などが発生する都度、日本貸金業協会や指定信用情報機関から、「被災者の対応についてのお知らせ」が交付され、ガイドラインに基づいた対応をするよう指導がなされています。
【信用情報に不利な情報がでないように】
自然災害で被災した場合など、罹災証明書などを提出すれば、一時的な返済猶予はもちろん、指定信用情報機関に延滞情報が発生しないようにすることが出来る可能性があります。
また、会社によっては、自然災害だけでなく、入院時など、診断書の提出をすることで、同様の対応が可能な会社もあります。
但し、この辺りの対応は、法律上の「義務」ではないので、各社によって違いがあります。詳しくは、利用しているキャッシング会社に問い合わせをして下さい。
【相談は歩み寄りが大切】
このように、ひと昔前に比べると、キャッシング業界でも、消費者保護の意識は格段に高まってきています。
しかし、最近、そのような流れに便乗しただけの、自意識過剰な「クレーマー」的な顧客が多くなってきているということも事実です。
キャッシングの取引中には、自然災害、入院、退職、など様々な理由で、生活状況が変わり、返済が厳しくなってしまうことがあります。
そのような時、確かに、キャッシング業者には、状況を鑑みて、きめ細かな対応が求められはいますが、その対応にも限度があります。
例えば、
・災害にあったので、最低、向こう3年間は返済を凍結してほしい。
・入院したので、とりあえず、1~2年ほど支払いを猶予してほしい。
・退職したので、とりあえず、仕事が決まるまで、無期限に返済を猶予してほしい。
といった話は業者としても、なかなか、わかりましたと二つ返事にはいかないでしょう。
消費者側としても、待ってもらって当然という心持ではいけないと思います。
そうした場合、話し合って歩み寄りといったことがどうしても必要になってきます。
但し、どうしても業者側との折り合いがつかなければ、弁護士などに相談をしてみることをおすすめします。
投稿者プロフィール

- 金融専門記者
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自らもかつて貸金業に従事。その経験を活かして現在は金融情報専門のライターとして精力的に活動中。幅広い人脈を活用した情報取集力には定評がある。
当サイトを含め多数のサイトで執筆を担当。
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