皆さんは、サービサー(債権回収会社)について、どこくらいのことをご存知でしょうか。
サービサーというと事業者ローンなど大型ローンのイメージが強いかもしれませんが、最近は消費者ローンなど小口融資でも関係してくることが多くあります。
もちろん、返済期日に遅れることなく支払を継続していれば、ほとんど関わることはありませんが、一応、キャッシングを利用するうえで、理解しておいた方が良いでしょう。
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【サービサー(債権回収会社)とは】
サービサーとは金融機関等からの委託や譲渡を受けて、債権回収業務を行う専門業者のことです。
もともとこのような業務は法律で弁護士以外は出来ないことになっていましたが、平成11年に「債権管理回収に関する特別措置法(サービサー法)」施行され、民間会社でも債権回収会社が設立できるようになりました。
サービサー法は平成13年に、取扱債権の範囲拡大などの改正が行われ、現在に至っています。
【設立の厳しい認可要件がある】
サービサー法ができたことにより、民間会社が債権回収業に参加できるようになりましたが、設立するためのハードルはかなり高く、誰でも設立できるようなものではありません。
その認可要件は、
②取締役の1名以上が弁護士
③暴力団員等の参入排除の仕組み
等のかなり厳しい審査基準が設けられており、中小零細企業がおいそれと参入できる内容ではありません。
【銀行、大手消費者金融ではサービサーは一般的】
サービサーの設立にはこのような厳しい審査基準がありますが、銀行や大手消費者金融は、子会社や関連会社でサービサーを設けているところが多くあります。
代表的なもので、
アコムのアイ・アール債権回収株式会社、
プロミスのアビリオ債権回収株式会社、
アイフルのアストライ債権回収株式会社、
三菱東京UFJ銀行のエム・ユー・フロンティア債権回収株式会社、
などがあります。
このため、キャッシングを利用して、一定期間、滞納が続くと、債権がサービサーに譲渡され、サービサーから法的手続きを踏まえた督促が行われる可能性があります。
【中小消費者金融ではほとんど利用されない】
このように、サービサーは銀行や大手消費者金融では一般的ですが、中小クラスの消費者金融ではほとんど利用されていません。
中小消費者金融業者は大手のように子会社にサービサーを設けていない会社がほとんどです。
そのため、仮にサービサーを利用するにしても、自社と全く関連のないサービサーと取引をしなければなりません。
サービサーは、買い取る債権の値段を、内容に応じて適正に決めているとのことですが、通常、消費者金融の不良債権はかなり安く買い叩かれます。
特に中小消費者金融の場合は、他金融機関に比べて、督促もかなり厳しく行っていることが多いので、その不良債権の値段が安くなるのは、やむを得ないかもしれません。
そのようなタダ同然の値段でサービサーに譲渡するよりも、自前で債権回収業務を行ったり、貸倒償却した方が税務上のメリットが高いという考え方でしょう。
但し、全くサービサーの利用がないということではないのでご注意ください。
【サービサーを名乗る詐欺に要注意】
突然、メールや電話で、サービサーを名乗る会社から連絡が入り、身に覚えのない請求をされることがあります。
このような架空請求の要求には絶対に応じてはいけません。
通常、無視しておけば治まることも多いのですが、あまり悪質であれば、最寄りの警察署への相談をした方が良いでしょう。
また、サービサーからの請求に、少なからず心当たりがある人でも、そのサービサーが法務省の認可した正規の会社かどうかは確認しておくできです。
法務省ホームページ内「債権管理回収業務の営業を許可した株式会社一覧」で確認可能です。
また、サービサーに債権譲渡された場合、債務者には、利用していたキャッシング会社から債権譲渡通知が届くケースがほとんどです。
このような通知もなく、請求がいきなりあった場合も要注意です。
尚、長年未払いを放置していた借金の督促が、いきなりサービサーからくることもあります。
しかし、5年以上経過している借金の請求については、時効が援用できる可能性もあるので、弁護士等に相談することをおすすめします。
投稿者プロフィール

- 金融専門記者
-
自らもかつて貸金業に従事。その経験を活かして現在は金融情報専門のライターとして精力的に活動中。幅広い人脈を活用した情報取集力には定評がある。
当サイトを含め多数のサイトで執筆を担当。
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初めまして。
元主人の銀行の借り入れで連帯保証人になっています。
元主人が失踪したため、サービサーとやり取りしていますが、その情報は全銀協に記載されるのでしょうか?
ちなみに、先週全銀協の私の情報開示をしたところ記載はありませんでしたが、その後サービサーと連絡を取り、今後の返済額等改めて話し合いをしたので、新たに記載されたのでは?と心配しています。
はじめまして。
質問ありがとうございます。
結論から言えば、サービサーと和解しても、新たに信用情報に登録されることはないので安心して下さい。
(本来、サービサーに債権譲渡した記録は掲載されますが、質問者さんの場合、そもそも、KSCに情報がなかったということなので、これもあたりませんね。)
全国銀行個人信用情報センター(KSC)では、連帯保証人の情報も登録されることになっているので、サービサーに債権譲渡された場合は、「移管」という事故情報が掲載されるというのが通常です。
但し、質問者さんの場合は、KSCに開示請求して登録されていないのを確認済なので、登録はされていないのでしょう。
その契約の種類とか各銀行の解釈によっても登録の有無は異なることがあるようです。
いずれにしても、新たに信用情報に掲載されることはありません。
大手で借入れしていますが、3か月延滞してしまいました。他社でも借入れできないので返済の目途が立ちません。どの程度延滞したらサービサーに債権譲渡されるのでしょうか。また債権譲渡されたらどうなるのでしょうか?
大手の子会社で厳しい取り立てにあう可能性はありますか。
質問ありがとうございます。
早速ですが、消費者金融がサービサーにいつ債権譲渡するのかは、明確に定めはありません。
数カ月延滞で譲渡される場合もあれば、何年延滞していても譲渡されないケースもあります。
貸倒償却との関係もあるので、タイミングについては何とも断言出来ません。
但し、消費者金融もサービサーも、現在、取り立て行為は厳しく制限されており、乱暴な取り立て行為は禁止されているので安心して下さい。
また、長期延滞者に対して、消費者金融やサービサーが出来ることは、本人と直接交渉する以外には、
①法的手続き(訴訟、支払督促)
②強制執行(給料差押え、不動産差押え、動産差押え)
といった手続きくらいです。
但し、裁判をおこして判決が確定しても、強制執行するものがなければ、当面、放置して、様子をみるしかないというのが現実です。
現在、3カ月延滞ということですが、様々な事情もあったとのだとは思います。
ただ、この先も返済の目処が全く立っていないようであれば、放置しておくよりも、弁護士や司法書士に依頼して債務整理を検討された方が良いと思います。
初めまして、しばらく滞納していたクレジットが債権譲渡され払いつづけていますがこのまま払い終わってもCICの情報は保有期限が切れるまで異動の状態が変わらないのでしょうか?とても不安になってきました
サービサーに払うメリットは何ですか?
はじめまして。
質問ありがとうございます。
サービサーに債権譲渡された場合、CICには、通常、「移管終了」という情報が掲載されて、終了扱いになります。
そしてこの情報は、債権譲渡してから5年間は抹消されません。
これは、譲渡先のサービサーで、返済しても、しなくても、同じことです。
ただ、だからといって、サービサーへの返済を怠れば、法的措置などを講じられる可能性もあります。
もともとは、返済しなければならないお金なのでこれはやむを得ません。
質問者さんが、サービサーとどのような和解をして返済を継続しているのかはわかりませんが、場合によっては減額も踏まえて、分割で和解出来るというのが、メリットと言えばメリットです。
銀行ローンで引き落としのお金が足らなかったらしく銀行より先に債権回収会社からすぐハガキがきました。信用情報には事故扱いになりますか?お金は銀行からの連絡で初めて知りすぐに口座にいれました!その後ハガキがきていたことに気づきました!
はじめまして。
詳しい状況がわからないので何とも言えませんが、1回程度引き落としが落ちなかったぐらいでは、銀行が債権回収会社に債権譲渡することは、通常、あり得ません。
なので、何か勘違いをしているようにも思えます。
利用している銀行に状況を問い合わせした方が良いと思います。
(この場合、詐欺や架空請求を防止する観点から、ハガキが届いた債権回収会社ではなく、自分で利用した覚えがある銀行に問い合わせてください。)
尚、指定信用情報機関への事故情報の発生については、単純に以下のようになっています。
●㈱日本信用情報機構(JICC)・・3カ月以上未入金の場合、「延滞」という異動情報が発生する。
●㈱シー・アイ・シー(CIC)・・61日以上または3カ月以上未入金の場合、「異動」という情報が発生する。
このため、単純に延滞が3カ月以上続いていないのであれば、事故情報は発生していないはずです。
サービサーを無視し続けたらどうなるのでしょうか?
こんにちは。
以前、元配偶者の連帯保証人となっていて、サービサーとやり取りをしているとの質問を頂いた方ですね。
サービサーを無視し続けると、訴訟→強制執行のリスクが発生します。
判決がでると、時効はその時点から10年間となるので、向こう10年は強制執行される可能性があることになります。
執行の対象は勤務先が判明していれば給料差押えなどが一般的です。
くれぐれも慎重な対応を心がけて下さい。