消費者金融など貸金業者の自主規制機関に「日本貸金業協会」という団体があります。
具体的になにをやっているのかはともかく、名前ぐらいは聞いたことがある人も多いと思います。
このような業界団体というものは、往々にして、体裁だけで、実務能力に乏しい団体が多いものです。
そのため、日本貸金業協会に関しても同じような印象を持っている人もいるかもしれません。
しかしそれは大きな誤解です。
日本貸金業協会は、あまり知られていませんが、使い方次第では非常に役立つ存在になるので、使わない手はありません。
今回は、日本貸金業協会の活用術をお伝えしたいと思います。
しかもほとんどが無料です。
せっかくなので、もっと活用されても良いと思います。
コンテンツ
【貸金業相談・紛争解決センターを活用】
日本貸金業協会には、「貸金業相談・紛争解決センター」という窓口があり、ここでは、以下のような受付けを行っています。
※消費者金融などの借入れや返済に関する苦情・相談
なんだ、そんなことかと侮ってはいけません。
まず、「無料」で相談に乗ってくれることは非常に大きいと思います。
また、この無料相談窓口は、客からの苦情やトラブルがあまり大事にならないように、防波堤の役目も果たしています。
なので、基本的には、協会が間に入って消費者金融業者にも穏便な解決するよう促してくれます。
※債務整理のアドバイス
例えば、消費者金融に債務整理のアドバイスを求めても、利益が損なわれるので、良い返答は期待できません。
弁護士、司法書士は、商売なので、基本、債務整理をすすめてきます。
実は、業界団体の日本貸金業協会が、一番、中立かもしれません。
多重債務者救済の観点からも、客観的に的確にアドバイスをしてくれるはずです。
※紛争解決手続(ADR)
大きな紛争については、日本貸金業協会は、「指定紛争解決機関」になっており、
紛争解決委員(弁護士)が、中立公正の立場で両当事者の交渉を仲介し、和解案を提示して和解による解決を目指す制度を設けています。
貸金業相談・紛争解決センター
電話番号:0570-051-051
受付時間:9:00~17:00 土・日・祝休日・12/29~1/4を除く
【貸付自粛制度を活用】
「貸付自粛制度」とは、自分自身に浪費の習慣があったり、借入れをすぐ増やしてしまう癖があることを自覚していている場合、日本貸金業協会に貸出自粛の依頼を申請するものです。
この制度は、本人が自分自身で申し出るのが原則で、親族が申し出るには、本人が、借金が原因で所在不明になっている場合などの限られてしまいます。
また、一旦、自粛依頼を出しても、自粛を撤回・取消しすることも可能なので、完全に貸出しを禁止することは出来ません。
このように限定された手続きではありますが、登録は無料ですし、一定の抑制にはなると思います。
(参考記事:子どもにお金を貸さないように手続きをとることはできないのか。)
貸付自粛制度の利用は、前述の、「貸金業相談・紛争解決センター」から申請が可能です。
※追記(2019年4月8日)
カジノ解禁を含む、統合型リゾート(IR)実施法案が、2018年7月20日に可決されて以降、「ギャンブル等依存症対策」は国をあげての課題となっています。
それに伴い、金融業界でも対応が進んでいます。
具体的には、日本貸金業協会では、ギャンブル等依存症対策の一環として、2018年4月から、ギャンブル等依存症対策を理由とする申告を自粛の対象項目に追加し、制度の拡充を図りました。
その結果、2018年度上半期の日本貸金業協会の貸付自粛の登録件数は、1,265件と、2017年度を上回るペースで増加しており、しかも登録者の4割以上の人がギャンブルを理由とする内容だったとのことです。
これまで表に出ていなかっただけで、いかにギャンブル目的で借入れする人が多いかということがわかる数値だと思われます。
また、日本貸金業協会だけでなく、全国銀行協会でも、2019年3月29日より「貸付自粛制度」が開始されました。
(参考記事:全国銀行個人信用情報センターの貸付自粛制度が開始!)
但し、貸付自粛制度は、いわば、自分自身で、「どうぞ私に貸さないで下さい」と申し出る制度で、申告から3カ月経過すれば、いつでも解除することが可能です。
このため、一定の足枷にはなると思いますが、完全に貸付けを防止することは不可能です。
果たしてどれだけの効果があるかは疑問なところです。
※参考
【公式ホームページのコンテンツを活用】
日本貸金業協会の公式ホームページは、定期的にリニューアルされ、参考資料やコンテンツがかなり充実してきました。
かつてはそうでもありませんでしたが、最近の公式ホームページはかなりクオリティーも高いと思います。
しかも、わかりやすい!
ここでは、日本貸金業協会のホームページ内のコンテンツをおすすめ順に3位まで紹介させていただきます。
(尚、コンテンツは、この記事を出稿した2019年3月時点の内容になります。)
※おすすめ第1位
Q&Aで解説貸金業法とは
2010年6月に改正された貸金業法によって、業界の大きくルールが変更されました。
日本貸金業協会では、これまでも貸金業法についてホームページ内で解説していましたが、専門用語も多く、素人にはなかなかとっつきにくかったように思います。
しかし、現在、リニューアルされた公式ホームページの、「Q&Aで解説貸金業法とは
」は、素人の方にもわかりやすく、貸金業法について解説しているので、是非、読んでおくことをおすすめします。
挿絵やQ&Aを織り交ぜながら、具体的に解説しているので、頭に入りやすく、貸金業法のポイントが理解できる内容になっています。
貸金業法について解説しているサイトは数多くありますが、ここまでわかりやすく解説しているのは他にはないと思います。
まさに、貸金業法解説の決定版です。
※おすすめ第2位
貸金業関連資料
一般の方で、ここに関心を持つ人はあまりいないと思いますが、なんとなくで良いので、ここの資料は、目を通しておくことをおすすめします。
現在、ネット上には、様々な情報が溢れていますが、中には、信憑性に乏しい、いわゆる「フェイクニュース」も混在しています。
実際、検索順位が高いサイトの中にも、単なる「広告目的」で、内容の信憑性に乏しいサイトがかなり多く見受けられます。
そのような中、この資料は、日本貸金業協会が公表しているものなので、データーの中身は信頼できる内容です。
活字や専門用語も多く、ややわかりにくいかもしれませんが、なんとなくで良いので、ここの資料に目を通しておけば、正しい情報を取捨選択する力が、養われるはずです。
※おすすめ第3位
なるほど!身近な貸金業
このコンテンツも、貸金業のあれこれについて、一般の方向けに、Q&A方式でかなりわかりやすく解説しています。
例えば、
・どのくらいの人が貸金業を利用しているか
・どのような人が利用しているのか
などなど、データーを基に詳しく解説しています。
このコンテンツもひと通り目を通しておくと、消費者金融に対してより理解が深まると思います。
【まとめ】
このように日本貸金業協会には、様々な、活用法があります。
また、原則、無料のサービスが多いのも魅力です。
本来、日本貸金業協会は、行政と両輪となって、貸金業者の監督を行い、健全化を図る目的があります。
中小クラスの消費者金融の中には、日本貸金業協会に加盟していない会社もありますが、各消費者金融には、日本貸金業協会の自主規制基本規則か、それと同レベルの自主規制規則を定めることが義務付けられているので、実際、各消費者金融に対しては、かなり強力な権限を持っています。
やはり、これは使わない手はありませんね!
投稿者プロフィール

- 編集者・ライター
- 主にサイトの編集を担当するが、記事の執筆も行う。某銀行に勤務していたが脱サラ。金融関連の出版社との馴染みが深く、金融業界の知識も豊富。
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