カードローン会社では、顧客に送った督促状が、「あてどころ尋ねあたらず」で、差し戻ったり、自宅に電話したら、家族から「ここにはもう住んでいない」と言われたりと、行方がわからなくなってしまう人が発生することは、日常茶飯事です。
本来、カードローン規約などに基づき、連絡先や居住先が変更したら報告するべきなのですが、実際は、わざわざ報告している人は少なく、延滞などで、督促書面の発送や電話をした際に、そのことが判明することがほとんどです。
そのような場合、カードローン会社は、「追跡調査」をすることになりますが、その追跡調査で、まるで探偵のように行方不明だった顧客の居所をみごと突き止めることもあります。
どうしてそんなことが出来るのでしょうか。
今回は、カードローン会社の追跡調査についてレポートしてゆきます。
【追跡調査の基本は住民票申請】
顧客の行方不明が判明した場合、まず行うことは、住民票申請です。
カードローンの規約には、通常、「債権保全のため必要と認めた場合は、会員の住民票、戸籍の附票等を取得することに同意します」といった条文が設けてあります。
カードローン会社は、その規約に基づき、顧客の「住民票」や「戸籍の附票」の申請を行うことが出来るのです。
転居した場合、通常、住民票は移動させるので、多くの場合、この調査で新住所が判明することになります。
カードローン会社は、行方不明の延滞者に対しては、定期的に住民票申請をしているので、相手が悪意持って行方をくらまそうとしていない限り、どこかのタイミングで判明することになります。
【信用情報の債権管理照会】
信用情報機関は、審査時だけでなく、契約者の「債権管理」として利用することも出来ます。
信用情報に加盟している金融機関は、住所、連絡先、勤務先情報を、信用情報機関に提供する必要があるので、定期的に、行方不明者の信用情報を照会すると、新たな情報が判明することがあります。
【地道な作業を侮るなかれ!】
他にも、かつては、聞き込みなどの調査もありましたが、モラルや、コンプライアンス上の問題もあり、いまどきは、行方不明者が発生した場合、カードローン会社が行う作業は、ここに記した、
① 住民票申請
② 信用情報の債権管理照会
くらいです。
但し、侮るなかれ。
カードローン会社(もしくは、代位弁済した保証会社)はこれらの作業を、貸し倒れ処理以降も定期的に繰り返すので、どこかのタイミングで、新情報が判明することは珍しくありません。
長年、放置していて、請求も来なかったのが、いきなり督促が届くようになったということは実際によく聞きます。
居住先が判明すればカードローン会社は訴訟提起することも可能ですし、回収の幅は広がることになります。
訴訟で判決が確定すれば、時効援用出来るまでは、そこから改めて10年間になります。
カードローン会社の追跡調査は、このような地道な作業を、長い期間かけて繰り返すので、一般の生活者でいる以上、逃げ切ることはなかなか困難です。
一旦、貸し倒れした債権からも、一定の回収が図れています。
投稿者プロフィール

- 金融専門記者
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自らもかつて貸金業に従事。その経験を活かして現在は金融情報専門のライターとして精力的に活動中。幅広い人脈を活用した情報取集力には定評がある。
当サイトを含め多数のサイトで執筆を担当。
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