平成22年6月18日に、改正貸金業法が完全施行されて、上限金利が引き下げられたので、それ以降にキャッシング契約した方には、「過払い」は発生していません。
このため最近の債務整理は、大幅な減額は難しくなってきていることは既に説明しました。
(参考:いまどきの債務整理事情)
和解額については、債権者であるカードローン会社等は、利益確保のため、出来る限り高い金額で和解したいですし、弁護士、司法書士にとっては、債務者の負担を減らすべく出来る限り低い金額で和解をしたいと考えています。
しかし、和解には一定の基準(目安)があります。
【東京三弁護士会統一基準とは】
東京三弁護士会とは、東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会の3つの弁護士会のことを指します。
これらの弁護士会は、クレジット、消費者金融処理に関して次のような統一基準を出しています。
①取引経過の開示
貸金業者に対して取引開始時点から全取引履歴の開示を求めること
②残元本の確定
利息制限法所定の制限利率によって引き直し計算を行い、最終取引日に おける残元本を確定すること
③残元本のみを対象とする弁済案の提示
弁済案の提示にあたっては、それまでの遅延損害金や将来利息は付けない
そして、多くの弁護士、司法書士事務所が、この東京三弁護士会の統一基準に沿った内容で和解することを方針としています。
【現実的な和解ラインは】
弁護士、司法書士事務所が、統一基準でしか和解しない方針である以上、カードローン会社側は、不服であれば提訴するしか方法がありません。
しかし、それはあまりにも費用対効果の面から割にあいません。
そのため、現実的には、以下のラインで和解になることがほとんどです。
①損害利息を計上せず、全て利息制限法に引き直し計算(10万円以上であれば18.0%)し、和解日までの経過利息を計上した金額で確定。
②同じく、全て利息制限法に引き直し計算し、介入日までの経過利息を計上した金額で確定。
③同じく、全て利息制限法に引き直し計算し、経過利息は計上しない。
統一基準で将来利息を認めてない以上、このようにせいぜい、介入日、和解日までの経過利息を計上するのが精一杯といったところでしょう。
分割支払いになる場合は、基本的には3年以内、長くても5年以内が一般的です。
もちろん、この東京三弁護士会の統一基準は、あくまで基準(目安)なので、事務所の方針や、債務者の状況によっては、この範囲以外での和解も有り得ます。
【和解内容は前例踏襲が基本】
カードローン会社と、弁護士、司法書士事務所は、同時に複数の顧客の案件で交渉をしていることがほとんどです。
特に、大手カードローン会社では、貸出し件数も多い分、介入件数も多く発生するので、弁護士、司法書士事務所がかぶっていることは珍しくありません。
この場合、各カードローン会社と、各弁護士、司法書士事務所との和解ラインは、前例踏襲となることがほとんどです。
すなわち、上記の例で言えば、ローン会社Aとの和解は①の条件、ローン会社Bとの和解は②の条件、と、各会社で、おおよその和解の落としどころは決まっており、それに倣う形で和解となることがほとんどです。
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- 編集者・ライター
- 主にサイトの編集を担当するが、記事の執筆も行う。某銀行に勤務していたが脱サラ。金融関連の出版社との馴染みが深く、金融業界の知識も豊富。
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