近年、「銀行カードローン」の活躍が目立っています。
銀行カードローンは、ここ数年、融資残高を伸ばし続けており、2016年3月末には、ついに消費者金融など貸金業者の残高を上回るほどになりました。
このように、銀行カードローンは、改正貸金業法などの影響で業者数が激減した消費者金融に取って代わり、新たな市場の受け皿として期待されています。
しかし、ほとんどの銀行カードローンは、消費者金融やカード会社が保証会社になっていることはご存知でしょうか。
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【保証会社とは】
保証会社とは銀行などが融資をする際、その債権の保証をする会社です。
「保証する」とは、延滞や破産、債務整理などにより顧客の返済が滞った際、銀行に対して、代位弁済として融資残高を立替精算する業務のことを言います。
もちろん、保証会社が代位弁済しても、顧客のローン残高がなくなるわけではなく、顧客への請求元が、銀行から保証会社にかわるだけです。
保証をするかわりに、銀行から保証会社には、融資残高に一定比率をかけた保証料が支払われており、これが保証会社の収益になっています。
一般的に保証会社となっているのは、無担保融資の審査に長け、債権回収のノウハウもある、消費者金融会社やカード会社がほとんどです。
例えば、三菱東京UFJ銀行カードローン(バンクイック)の保証業務は、大手消費者金融のアコムが行っています。
両者の関係を図にすると以下のようになります。
(図はアコム新卒採用サイトより抜粋)
【審査も保証会社が行う】
銀行カードローンの場合は審査も保証会社が行っています。
もちろん、銀行でも一次審査的な審査基準は設けていますが、主だった審査は保証会社の業務であり、むしろこれが、銀行カードローンの最大の強みと言えます。
上記の例でいえば、三菱東京UFJ銀行カードローン(バンクイック)の審査は、保証会社のアコムが行っているということになります。
【銀行と保証会社の消費者金融ではどちらの審査が通りやすいか】
ここでひとつの疑問が出てきます。
「三菱東京UFJ銀行カードローン(バンクイック)の審査を保証会社のアコムが行うのであれば、最初からアコムに申込みをするのと審査結果は同じなのか。または、どちらかが通りやすいのか」ということです。
結論から言えば、三菱東京UFJ銀行(バンクイック)に申込みをしたときの審査結果と直接アコムに申込みをしたときの審査結果では内容が違ってくる可能性があります。
これは、銀行と消費者金融の性質の違いによるものです。
♦審査手法は消費者金融が厳格
銀行カードローンに申込みをする客層と、消費者金融に申込みをする客層では、相対的に銀行の客層の方が、属性が良いとされています。
そのため銀行カードローンの審査は、基本的に性善説で成り立っており、年収も自己申告で、収入証明での裏付けなど不要としている銀行がほとんどです。
逆に消費者金融の審査は性悪説で成り立っているので、融資額にもよりますが、自己申告以外に裏付け書類の提示を必要としている会社も多くあります。
また、銀行は無職の専業主婦への貸出しも行っていますが、消費者金融は行っていません。
そのような観点から見れば、消費者金融での立場の審査はより厳格だと言えます。
♦審査対象の間口は消費者金融の方が広い
しかし、その逆に消費者金融は銀行カードローンよりも、審査対象とする間口が広いので(専業主婦の場合は総量規制の関係で例外ですが)、属性が良くなくても、融資可能となる可能性もあります。
このように、一概に、どちらかが審査に通りやすいということではありません。
【ある夫婦での実験レポート】
最後に、ある夫婦の協力を得て実験したところ、興味深い結果が出たのでレポートしておきます。
実験内容は、夫の年収500万円、妻は無職専業主婦という、一般的家庭の夫婦に、それぞれ、銀行カードローンとその保証会社になっている消費者金融にキャッシングの申込みをしてもらうといったものです。
その結果は以下のようになりました。
●銀行カードローン・・否決
●消費者金融・・限度50万円可決
●銀行カードローン・・限度30万円可決
●消費者金融・・否決
妻が専業主婦なので、消費者金融が否決になることは理解できます。
しかし、興味深いのは、銀行カードローンで、夫が否決となり、妻が可決となっていることです。
もともと、世帯の収入が夫の収入しかないので、本来、夫が可決で妻が否決の方が自然な気がします。
申込みをしたタイミグも夫婦でそれぞれ違うので、一概には言えませんが、
銀行カードローンへ専業主婦が申込みをした場合、夫の年収額は自己申告で入力するだけで、夫の勤務先の詳細を問われることはありません。
しかし、夫が自分で申込みをした場合は、勤務先の詳細まで入力する必要があります。
そのあたりが、審査に何等か影響したのかもしれません。
また、妻の口座情報が何等か有利に働いたのかもしれません。
投稿者プロフィール

- 金融専門記者
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自らもかつて貸金業に従事。その経験を活かして現在は金融情報専門のライターとして精力的に活動中。幅広い人脈を活用した情報取集力には定評がある。
当サイトを含め多数のサイトで執筆を担当。
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