2019年5月1日より、元号は「平成」から「令和」に代わり、新しい時代が幕開けしました。
振り返れば、平成時代のカードローン業界はまさに激動でした。
無人契約機の一大ブームによって消費者金融が大繁栄したのも束の間、その後、過酷な取り立てや「ヤミ金」が社会問題化したり、過払い金返還問題や、法改正による締め付けによって、平成元年には、38,048件もあった貸金業者数は、平成31年3月には、1,716件と、22分の1以下にまで激減してしまいました。
その後、消費者金融に取って代わる受け皿として、銀行カードローンが目覚ましい勢いで融資残高を伸ばしましたが、最近では、その銀行カードローンによる過剰融資が問題視されるようになり、課題はまだまだ山積の状況です。
そのような中、「令和」時代のカードローン業界はどうなってゆくのでしょうか。
今回は、改元特別企画として、「令和」時代のカードローン業界について徹底解説させて頂きます。
コンテンツ
【キャッシュレス時代のキャッシング!?】
クレジット(ショッピングローン)業界では、2020年の東京オリンピックに向け、経済産業省主導で、「キャッシュレス化」を推進しています。
このプロジェクトはまさに、「国策」と言っても過言ではなく、今後、この流れは、ますます加速してゆくものと思われます。
中には、このようなキャッシュレス化に伴い、直接、現金を融資する、キャッシングは衰退してゆくという人もいます。
しかし、いかにキャッシュレスが進もうと、キャッシングという業態は残ってゆくはずです。
それは以下のような理由からです。
①クレジットとカードローンでは客層が違う!?
日本人のクレジットカード保有率は87%を超えていると言われています。
かたや、カードローンの利用率は、クレジットカード利用経験者の内、
・銀行カードローン利用経験有・・48.5%
・消費者金融利用経験有・・40.3%
となっています。
(参考記事:全国銀行協会公表データーを分析)
つまり、クレジットカードは成人の大多数が保有しているメジャーな業界であるのに対して、カードローン利用者はその内の半数にも満たないという、ややニッチな業界ということです。
また、クレジットカードのキャッシング機能の利用が出来なくなった人が、カードローンの利用者には多いというのは事実です。
このように、クレジットカードとカードローンでは、客層が異なっています。
そのため、いかにキャッシュレス化が進もうと、一定数のカードローンの需要は必ずあるはずです。
②現金の信頼度が高い
日本でこれまでキャッシュレス化が浸透しなかった理由のひとつに、日本では現金に対する信頼度が高いということがあげられます。
紙幣の偽装も少なく、治安も良い日本では、わざわざキャッシュレスにする理由があまりありません。
むしろ、決済がその場で完了する現金取引の方が、安心感があるという方も多いのではないでしょうか。
今後も一定数の現金主義者は根強く残るはずです。
③使途不明金が欲しい!?
クレジットカードのショッピングは確かに便利ですが、何に使ったのか、その証跡は残ってしまいます。
しかし、時には証跡が残らない「使途不明金」が欲しいという方は多いはずです。
別に、脱法的なことだけではなく、特に、奥さんが家計のやり繰りをしている、既婚男性はそのように思う方も多いのではないでしょうか。
【年収200万円時代のキャッシング】
近年、雇用形態が多様化して、アルバイト、派遣社員、契約社員等、正社員ではない方の割合が増えてきています。
カードローンにおいても、非正規雇用の方からの申込みは確実に増えてきており、現在は、非正規雇用の方も、以前より利用しやすくなってきています。
但し、このような非正規雇用の方の7割は、「ワーキングプア」と呼ばれる、年収200万円以下の属性の方だと言われています。
このように、年収200万円以下の方からの需要は増えてきており、今後は、これらの層の方に対する、「少額融資」の商品が増えてくると予想されます。
例えば、5万円程の少額融資であれば、過剰融資との批判もかわせますし、リスクを抑えることも可能です。
但し、消費者金融は、1件につき、ある程度の金額を融資しなければ成り立たないビジネスなので、このような「少額融資」を推進するには、いかに審査周りのコストを抑えるのかが問題になってきます。
このように、課題はありますが、年収200万円時代に合わせて、「令和」は低所得者でも利用しやすい商品が、さらに増加してくると予想されます。
(参考記事:「貧テック!?」から見えてくる少額資金のニーズ)
【若者へのキャッシングには業界の自主ルールを!】
2022年4月から、成年年齢が18歳に引き下げられます。
現在、カードローンの契約は、多くの会社が、20歳以上の「成年」であることを条件にしていますが、今後はどうなってゆくのでしょうか。
民法では、未成年者は制限行為能力者とされ、法定代理人の同意なく行った契約は、取り消すことが可能とされています。
成年年齢が引き下げられると、法律上は、18歳から単独での契約行為が可能となり、制限行為能力者を理由に、取り消すことは出来なくなってしまいます。
これについては、日本弁護士連合会などからも、懸念する声があがっています。
すなわち、成年年齢が18歳まで引下げられると、新たな新成人のローン利用者が大幅に増加し、知識、経験不足から多重債務化してしまう危険性があるということです。
このことについては、カードローン業界で、自主的ルールを設けて対応してゆくことが必要だと思われます。
ただでさえ、社会経験に乏しい20歳そこそこの若者へのカードローンについては、風当りが強い中、なんの自主ルールもなく、契約条件を現行の20歳から18歳に変更すれば、「若者の多重債務」が社会問題化するのは目に見えています。
改正貸金法の「総量規制」のように法律改正によって、強制的に締め付けられないためには、自主ルールの設定は必須でしょう。
具体的には、日本貸金業協会で自主ルールを定めるのが適切だと思われます。
(参考記事:成年年齢引下げでカードローン業界が変わる!)
【外国人労働者という可能性!?】
2019年4月1日に改正出入国管理法が施行されました。
この改正により、政府は、外国人労働者の受け入れを、5年間で最大34万人想定していると言われています。
また、日本人の人口は、少子化などの問題もあり、2017年は過去最高の37万人減少しましたが、対して、外国人は最大の17万人増えており、就業者数においては50人に1人は外国人という計算になるようです。
このように、令和時代は、「日本人が減少し、外国人が増加してゆく」ことは明らかです。
これまでカードローン業界は外国人へのキャッシングについてあまり積極的ではありませんでした。
(表向きは「在留カード」または「特別永住者証明書」を用意すれば審査可能としている会社がほとんどですが)
いわゆる「在日」の方のように、生活拠点が日本にあり、言語の壁もなく、普通に意思疎通が可能な方々であればなんら問題ありませんが、在留期間が限られている「中長期在留者」に対しては、言語の違いによる意思疎通の問題はもちろんのこと、滞在期間内に返済が完了している保証はなく、返済を残して帰国してしまった場合、回収は不可能に近いからです。
しかし、外国人が増え続ける今後は、「外国人労働者へのキャッシング」が大きなポイントになってくるでしょう。
不良債権化した場合の債権回収方法の確立や、限度枠内での入出金を可能としている「リボルビング契約」ではなく、在留期間内に返済が完了するよう、普通の「証書貸付け」を多用するなど、工夫は必要ですが、上手くいけば新たなマーケットとなる可能性を秘めています。
令和時代は外国人向け融資も活性化してくると予想されます。
投稿者プロフィール

- 編集者・ライター
- 主にサイトの編集を担当するが、記事の執筆も行う。某銀行に勤務していたが脱サラ。金融関連の出版社との馴染みが深く、金融業界の知識も豊富。
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