女性向けシェアハウス、「かぼちゃの馬車」の運営会社である「スマートデイズ」が経営破綻したことによって、賃料収入が止まったシェアハウスのオーナーらが億単位の借金を背負い、返済が滞ってしまっていることが社会問題となっています。
このシェアハウスのオーナーは、通常、億単位の融資が受けられるような資力のない、普通の会社員も多く、融資の審査を通すために、年収証明や通帳などの資料の改ざんが行われていたようです。
この改ざんには、融資を手がけていた「スルガ銀行」の指示や関与があったのではないかということで、今後、第三者委員会を設けて調査が行われる予定であり、現在、金融庁の検査も入っています。
【イケイケ融資は昔から有名】
今回、スルガ銀行が改ざんに、直接、指示、関与していたのかは、調査結果を待たなければなりませんが、既に、多くの行員が、不正が行われたことを知りながら、黙認していたことは認めています。
今回の事件についての、業界人の反応は、
「まさかあの銀行がこんなことを」
という驚きの感じでは全くなく、むしろ、
「さもありなん」
といった雰囲気というのが正直なところです。
それほどスルガ銀行のイケイケ融資は、金融業界では昔から有名なことでした。
厳しいノルマに追われている、金融機関の営業担当と、話をまとめたい不動産業者では、利害関係が一致するので、少なくともこのような不正が発生する下地はあったのかもしれません。
【ちょっとした黙認は・・】
今回のシェアハウス問題は、規模の大きさもあって、たまたま社会問題化しましたが、小さな規模であれば、正直、この手の話は、金融業界ではよく耳にします。
こんなことを書くと業界からお𠮟りを受けるかもしれませんが、本音を言えば、販売店を通して申込みがある、「提携ローン」や「ショッピングローン」など、3者間、4者間で契約する商品は、裏での談合や密約?が起きやすく、この手の話は日常茶飯事です。
私も現役時代に、年収証明書の改ざんまでの指示までは見かけたことがありませんが、年収額の記載金額を誘導するような表現をするのは何度か目撃しています。
例えば、マイカーローンの申込みをする前に、提携先の中古車販売店から金融機関に連絡が入り、
「どのくらいの年収であれば融資できそうですか」
なんて確認してくることはよくあります。
そして金融機関も中古車販売店とのつきあいもあるので、
「少なくとも〇〇万以上はないと難しいですね」
「返済回数は〇〇回以内でないと難しいかも」
と、なるべく審査が通るように大きなヒントを与えていることもあります。
すると、実際に、申込み用紙にはそれ以上の年収額や返済回数が記載されて申込みがくるというわけです。
金融機関としては、極端に高額なローンでなければ、年収証明などで裏付けをとっていないことも多く、基本的に申込者の申告年収額で審査をしています。
このため、こういうこと発生しがちです。
さらに、気の利いた販売店であれば、最初から金融機関に問い合わせもせずに、申込者に、絶妙にいい塩梅の年収額を書くように誘導して、申込みをさせてきます。
いくら、本人の申告でも、あまりに現実離れした金額を記入してあれば、さすがに、突っ込まざるを得ません。
しかし、長年、その金融機関と提携ローンで取引をしていれば、どのくらいの年収額を記載すれば審査に通過しゃすいのか、そのさじ加減をよく心得ているものです。
【弁護団は刑事告発も】
ここまで業界の悪しき慣習を記載しましたが、今回のスルガ銀行の問題は、規模的にも明らかに度を越していることは、同意見です。
被害者弁護団は、スルガ銀行の融資担当者らを、私文書偽造・同行使の罪で刑事告発するという表面しています。
進展があれば随時レポートしたいと思います。
投稿者プロフィール

- 編集者・ライター
- 主にサイトの編集を担当するが、記事の執筆も行う。某銀行に勤務していたが脱サラ。金融関連の出版社との馴染みが深く、金融業界の知識も豊富。
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