シェアハウス融資の不正問題で世間を騒がしているスルガ銀行についてですが、金融庁は、2018年10月5、同行に対して、6カ月間の一部業務停止命令という処分に踏み切りました。
調査では、不動産融資での資料改ざんに加え、
・創業家関係会社への不透明な融資
・暴力団関係者との取引
といった問題も判明しており、悪質性が高いと判断しての処分であったようです。
今後、スルガ銀行がどのようになってゆくのか、進展があれば随時、レポートしてゆきますが、今回は、この問題をちょっと違った観点から、考えてみたいと思います。
ある程度のリスクは負うべきなのでしょうか。
やっぱり、騙された「被害者」なのでしょうか。
【ネット上では「借り手の責任」が話題に!?】
このスルガ銀行問題は、報道では、銀行側、つまり、「貸し手」の不正ばかりが取りざたされていますが、現在、ネット上では、「借り手の責任」ということも話題になっていて、以下のような意見もあります。
・もともとリスクも承知で購入を決めて融資を受けたのではないのか。
・スマートデイズが初めから詐欺をしようと、スルガ銀行とグルになって投資家を騙したのならわかるが、今回は単なる、投資の失敗じゃないのか。
・これで、債務免除になるなら騒いだ者勝ちじゃないのか。
つまり、
審査の時点で、年収改ざんがあったにせよ、自分の意志で投資をして、失敗したら、いきなり「被害者」になり、
「スルガ銀行が適正に審査をして、自分への融資を断ってくれれば、失敗しなくてすんだはず!」
という理屈で、借金をチャラにしろと騒ぐのは、虫がよすぎるのでは、と違和感を持つ人も多いということです。
このような、意見が出る背景には、被害者のオーナーが、若者や老人ではなく、30代、40の大企業を中心とした高所得のエリートサラリーマンであったと言われていることへの「やっかみ」もあるのかもしれません。
弁護士などの専門家ではなく、普通の庶民感覚としたら、このような意見が実は多数派なのかもしれません。
【被害者弁護団の主張】
スルガ銀行・スマートデイズ被害には、現在、被害者弁護団が結成されています。
ネット上では、「借り手の責任」が話題になっていますが、もちろん、被害者弁護団の主張はそれとは異なります。
・スルガ銀行の融資がつく確実な投資だと説明して投資させたが、物件価格が不当に高額で、事業は破綻しているという詐欺的手口。
・「シェアハウス融資によって十分返済可能」という虚偽の事業計画を提示してオーナーを騙して借入れさせた詐欺的融資。
といった、主張で、「借入れする必要のなかったお金を借入れさせられた」として、銀行側に損害賠償責任があるということになるようです。
【最強メンバーが揃う弁護団】
そして、弁護団に参加している弁護士も、そうそうたる顔ぶれです。
※弁護団長
・河合弘之弁護士(原発訴訟で有名)
・山口広弁護士(元日弁連消費者問題対策委員会委員長で、霊感商法などの被害救済で有名)
※副団長
・紀藤正樹弁護士(消費者問題で有名、メディアにも多数出演)
・谷合周三弁護士(住宅被害問題のスペシャリスト)
のそれぞれ二人体制で就任しています。
スルガ銀行のような大企業が相手になると、このくらい強力な布陣が必要なのかもしれませんが、正直、並の企業なら、このメンバーを見ただけで、「ブルって」しまって完全に白旗でしょう。
【今後の展開に注目】
このように、今回のスルガ銀行問題は、「借り手の責任」が、どこまで認められるのかという観点からも、注目です。
既に、訪問販売や、連鎖販売などの分野では、過去に問題業者が多かったので、法律改正が行われ、現在では、逆に消費者の主張が圧倒的に強くなっています。
そのような中、一部の販売店、やクレジット会社では、
「こちらに非がなくても、消費者が騒いだら、完全白旗で頭を下げて解約する」
「消費者保護が世間の風潮なので、争っても利がない」
といった、モラルハザードも起きかけています。
単に、「消費者保護」ということで、「借り手には一切責任がない」ということになれば、今後、契約行為というものの、「モラル」がさらに崩れてしまうことになるかもしれません。
投稿者プロフィール

- 金融専門記者
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自らもかつて貸金業に従事。その経験を活かして現在は金融情報専門のライターとして精力的に活動中。幅広い人脈を活用した情報取集力には定評がある。
当サイトを含め多数のサイトで執筆を担当。
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