平成29年4月3日、朝日新聞記事に、「個人自己破産13年ぶり増 銀行カードローン影響か」とのタイトルの記事が掲載され、「昨年、個人による自己破産申立て件数が、13年ぶりに前年を上回った」とのことでした。
最高裁によると、2016年の個人の自己破産申請件数は、前年比1.2%増の6万4637件を数えたとのことで、それまで、03年の約24万件をピークに減少し続けていましたが、13年ぶりに増加したとのことです。
近年の自己破産の減少は、2010年6月に完全施行された改正貸金業法によって導入された総量規制の影響が大きいとされていましたが、その対象は、消費者金融などの貸金業者に限定されたものでした。
消費者金融などが、規制により融資残高を減少させる一方、銀行カードローンは、それに取って代わる形で順調に融資残高を伸ばし、2016年3月末には、ついに消費者金融の融資残高を上回るほどになりました。
日本弁護士連合会の調査では、過去3年以内の債務整理の相談で、一つの銀行から年収の3分の1超を借りた例が65件見つかり、無職なのに100万円以上借りたケースも複数あったとのことです。
また、最近では、消費者金融の審査に落ちた人が総量規制の適用がない銀行カードローンの審査を受けているともいわれており、
「銀行カードローンの残高が年収の3倍にまで膨らんだ」、
「電話で勧誘してきた銀行もあり、簡単にお金を貸してくれた」
などの話も聞かれます。
このようなことから、日弁連は平成28年10月12日に、銀行カードローンによる過剰貸付防止を求める意見書を金融庁に提出しました。これをうけて同庁も実体調査に乗り出しています。
また、3月28日の衆院決算委員会で、麻生太郎金融担当相も、「どんどんエスカレートしないか危惧している。我々がいかがなものかとやる前に対応しないと、いかにもみっともない」と牽制しています。
このような流れを受けて、全国銀行協会は3月、自主規制としての過剰融資対策を加盟行に求めましたが、貸出額に一律の規制をかけることにはいまのところ消極的です。
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