自然災害に被災した場合のローンの返済について

このたび平成30年台風7号及び前線等に伴う大雨により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
皆さまの安全と一日も早い復旧をお祈り申し上げます。

このような自然災害によって、住宅ローンをはじめ、各種ローンの返済が困難になってしまうこともあります。

そのような場合、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」に沿った債務整理という手続きがあることはご存知でしょうか。

日本は世界でも有数な「自然災害大国」なので、今回のような自然災害は、決して他人事ではありません。
いざという時の予備知識として、この手続きの存在は覚えておいて絶対に損はありません。
まだまだ、一般的な認知は低いと思われるので今回、詳しく解説させて頂きます。

 

【自然災害による被災者の債務整理とは】

この「自然災害による被災者の債務整理」とは、自然災害によって、住宅ローン等を弁済で
きなくなった方が、自己破産などの法的倒産手続に追い込まれないように、特定調停手続きを活用して、減額を申し出る債務整理のことを指します。

●対象者

対象となる方は、平成27年9月以降に、災害救助法の適用を受けた自然災害の影響による被災者の方で、下記条件の方になります。

①個人や個人事業主で被災された方(法人は対象ではない)
②被災前は住宅ローンなどの借入れにつてきちんと返済されていた方
③自然災害の影響で返済が困難となられた方(また、近い将来返済が困難なことが確実な方)

●手続きのメリット

この債務整理を活用するメリットは大きく以下の3つです。

①債務整理をした事は個人信用情報に登録されない!
通常の債務性や自己破産などと異なり、「自然災害による被災者の債務整理」をしても、個人信用情報に登録されることはありません。
このため、その後の新たな借入れに影響が及ぶことはありません。

②手続き支援が無料!
国の補助により、弁護士などの「登録支援専門家」による手続支援を無料で受けることが出来ます。

②財産の一部を手元に残せる!
被災状況、生活状況などの事情によるが、財産の一部をローンの支払いにあてずに手元に残すことも出来ます。

尚、債務整理手続きは、最も多額のローンを借りている金融機関に問い合わせて下さい。

※この債務整理についてさらに詳しい内容は、「一般社団法人自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関」のHPで確認出来ます。

 

【カードローン業界の対応】

住宅ローンだけではなく、カードローン業界においても、行政や業界団体からは、このガイドラインに沿った対応をとるように求められています。

具体的には、各地で、地震、洪水などが発生する都度、日本貸金業協会や指定信用情報機関から、「被災者の対応についてのお知らせ」が交付され、

①被災者からの借入申込みや債務の支払条件の変更申込み等の相談等について、被災者 の要請内容や被災状況等の生活実態を踏まえて、きめ細かく丁寧に対応すること。

②督促等の回収業務にあたっては、特に被災状況等を十分に配慮したうえでカウンセリ ングを中心とした対応に努めること。

など、実際に債務整理手続きを取っていない被災者の方についても、このガイドラインに基づいた対応をするよう指導がなされています。
また、このような自然災害時に、強引な取り立てをする会社はないと思いますが、もし、トラブルがあった場合は、日本貸金業協会の相談窓口に相談して下さい。

貸金業相談・紛争解決センター
電話での受付 受付時間 9:00~17:00 (土・日・祝日 12/29~1/4を除く)
ナビダイヤル 0570-051-051 または 03-5739-3861

 

ライターから一言
東日本大震災以降、自然災害に対する業界の意識は高まっています。
被災時は、ここで紹介した「自然災害による被災者の債務整理」もありますし、この手続きをとっていなくても、返済に関しては、被災状況を考慮して相談に応じてくれるはずです。

 

【新型コロナウイルス感染症に適用する特則】

※追記(2020年11月10日)
新型コロナウイルス感染症の影響で返済が立ち行かなくなり、自己破産などの法的整理の要件に該当することとなった個人・個人事業主の生活や事業の再建を支援するため、
「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の特則ができました。
(適用開始日:2020年12月1日)
この特則では、一定の要件を満たせば、住宅ローンに加え、カードローン等その他の債務を抱える個人・個人事業主について、住宅を手放すことなく、住宅ローン以外の債務の免除・減免を申し出ることができます。
この特則は、例えば、次のような個人・個人事業主の方が利用することができます。

・新型コロナウイルス感染症の影響による失業や収入減でローンの返済ができない。
・資産より負債が多く、将来の収入の見通しが立たず返済できない。
・住宅ローンに加え、新型コロナウイルス感染症の影響でカードローン等その他のローンの負担が大きくなり返済できない。
・事業を廃業して再スタートしたいと考えているが、債務を返済できない。

まずは、もっとも多額のローン借入先の金融機関に電話で問い合わせてください。

投稿者プロフィール

MiyakeSeiya
MiyakeSeiya編集者・ライター
主にサイトの編集を担当するが、記事の執筆も行う。某銀行に勤務していたが脱サラ。金融関連の出版社との馴染みが深く、金融業界の知識も豊富。

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