銀行カードローンの審査基準はどう変わったか!

ここ最近、銀行カードローンの過剰融資が問題視され、現在、各行は自主規制を強化して対応を図っています。
では、具体的に銀行の審査基準はどう変わったのかご存知でしょうか。

例えば、
・年収証明を取得する基準は?
・融資枠の制限の取り決めは?
などの審査基準に関する情報は、各行、公開していないので、よくわからないという方も多いと思います。

そこで今回は、銀行カードローンの審査が自主規制によってどう変わったのか、また、具体的に、「どのような基準になったのか」を着眼点に調査してみました。
このレポートをチェックすれば、最近の銀行カードローンの審査基準が見えてくると思います。

ライターから一言
自主規制の強化で、銀行カードローンの審査はどう変わったのか、記事を読めばわかります。

※このレポートは、金融庁が2018年1月に公表した「銀行カードローン検査中間とりまとめ」と、月間消費者信用が、2018年2月号で公表した、地銀、第二地銀に実施したアンケート調査を参考資料としました。
尚、金融庁のとりまとめは、残高の多い先を中心に12行選定しているので、
・金融庁データー・・都銀を中心とした大銀行のデーター
・月間消費者信用データー・・地銀、第二地銀のデーター
と大まかに区分けさせて頂きます。

 

【年収証明を取得する基準】

♦50万円超の融資で年収証明取得がスタンダード

この表からも、現在、大銀行、地銀を問わず、約9割の銀行が、50万円を超える融資に対しては、年収証明の取得を求めていることが分かります。
これは、貸金業法(消費者金融)の基準と同じですが、保証会社である消費者金融の意向を踏まえた結果かもしれません。
いずれにしても、「50万円超の融資は年収の提出が必要」というのがスタンダードになっています。
また、地銀や第二地銀の中には、大銀行に比べて年収証明の取得基準が高額であったり、そもそも年収証明の提出が不要な銀行もあるようですが、いずれ大銀行の基準を踏襲してゆく流れにあると思われます。

 

【年収による融資上限】

銀行には、消費者金融の「総量規制」のような、年収額で貸出しを規制する法律はありません。
(消費者金融は原則、年収の3分の1を超える貸出しが制限されています。)

このため、過剰融資が問題視される中、各行は自主規制を強化して対応していますが、具体的な融資上限はどうなっているのでしょうか。

♦大銀行は年収の2分の1が多数

まずは、大銀行、12行のデーターです。

この表からは、大銀行の半数以上は、自行、他行、消費者金融を問わず、いわゆる「カードローン」の貸付けが「年収の2分の1」までと制限を設けていることがわかります。

消費者金融の総量規制は、「年収の3分の1」が基準なので、一見、消費者金融よりも基準が緩いように思われるかもしれませんが、消費者金融の総量規制の対象は、貸金業者からの借入れだけで、銀行からの借入れがいくらあっても、総量規制にはカウントされていないので単純比較は出来ません。
ただ、筆者の感覚では、全てのカードローンの貸付額が年収の2分の1までとしている、大銀行の基準の方が、消費者金融の総量規制よりも、厳しい基準だと思います。

さらに、この年収の2分の1までとしている7行は、テスト的に貸出しを、
・年収の3分の1以下
・年収の3分の1超~2分の1以下
に分類して、1年後の不良債権率の比較したところ、
なんと、年収の2分の1以下とした方が、年収の3分の1以下よりも、不良債権率が低かったという結果になりました。
もちろん不良債権率の低かった銀行は、年収制限以外にも、生活維持費を勘案するなどの取り組みも見られたとのことですが、「全てのカードローンの貸付額が年収の2分の1」という審査基準の精度の高さを証明した結果になりました。

また、他行融資を勘案しない銀行も5行ありましたが、金融庁から改善を促されているので、最終的には、「カードローンの貸付額が年収の2分の1」というあたりに落ち着いてくるように思われます。

 

♦地銀、第二地銀の年収制限は・・

下図は地銀、第二地銀に関してのデーターです。

しかし、このデーターは、どの種類の負債をカウントしているのかが不明確なので、大銀行の結果とは比較は出来ません。
例えば、同じ年収の2分の1という基準でも、自行だけの貸付額なのか、他行も含めた貸付額なのか、消費者金融は含むのか、などによって全然違った内容になってしまいます。

ただ、年収による基準を設けていなかったり、検討中の段階の銀行が、少なからずあることには、やや驚きました。
地銀、第二地銀には、まだまだ、自主規制強化の流れが完全に浸透しきっていない様子も伺えます。

 

【保証会社への審査の依存】

銀行カードローンには、消費者金融などが保証会社となっていることが一般的です。
保証会社については、こちらの記事で詳しく解説しています

保証会社を利用したカードローンの仕組みを簡単に説明すると、
銀行は保証会社である消費者金融に、一定の保証料を支払い、審査は保証会社の消費者金融が実施して、不良債権化したら、消費者金融が代位弁済をして、回収業務を行う。
というスタイルです。

銀行にとっては、保証料を支払うので、利益こそ減りますが、不良債権は消費者金融が代位弁済するので、リスクは全くありません。
また、審査も消費者金融行うので、これまでは、銀行はほぼ受付窓口だけという、完全に保証会社に依存している印象がありました。

しかし、全国銀行協会の「申し合わせ」(2017年3月)以降は、銀行自体も、審査を消費者金融に丸投げするのではなく、積極的に係る方向になってきています。
これは、大銀行、地銀共に、同じ傾向です。

現在は、保証会社の消費者金融の審査後に、銀行独自の審査も実施されるようになってきています。

 

今回は、現在の銀行カードローンの審査基準についてレポートしましたが、審査基準は今後も社会情勢に合わせて、変化してゆくものと思われます。
当サイトでは、この辺りの動きに今後も注視して、随時レポートさせて頂く予定です。

投稿者プロフィール

ShibataMasaru
ShibataMasaru金融専門記者
自らもかつて貸金業に従事。その経験を活かして現在は金融情報専門のライターとして精力的に活動中。幅広い人脈を活用した情報取集力には定評がある。
当サイトを含め多数のサイトで執筆を担当。

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