私は、かつて消費者金融を利用したことがありますが、3年ほど前に全て完済して、現在は消費者金融からの借入れはありません。 最近、住宅ローンを組む予定があり、信用情報機関のJICCとCICの開示をしたところ、CICには何も記載がなかったのに、JICCには、完済情報として借入れ金額や完済日が掲載されていました。 どうしてでしょうか。
- ライターから一言指定信用情報機関については、こちらのカテゴリーでかなり詳しく解説しています。
合わせて読むとより理解が深まります。【JICCとCICの相互情報交流ネットワークについて】
質問の回答に入る前に、まずは、JICCとCICの間で行われている情報交流について説明しておきましょう。
消費者金融などの貸金業者が守らなくてはいけない法律に「貸金業法」がありますが、この「貸金業法」では、消費者金融などが顧客の借入残高を正確に把握できるように、指定信用情報機関での残高情報などの情報交流が義務付けられています。
現在、貸金業法に基づく、指定信用情報機関は、㈱日本信用情報機構(JICC)と、㈱シー・アイ・シー(CIC)の2社なので、この2者間で情報交流を行っています。
この情報交流の仕組みのことを「FINE」と言います。
尚、この「FINE」で交流される情報は、氏名、住所、生年月日などの「本人を識別するための情報」や、契約年月日、貸付け金額、貸付け残高などの「契約内容等」、さらに、ローンの申込みを受けて業者が照会した記録である「申込み情報」があります。
この情報交流のため、消費者金融の借入れ情報については、JICCを照会しても、CICを照会しても、同じように全て判明することになっています。
【情報交流は残高がある情報に限られる】
さて、では、質問のJICCには完済情報が掲載されているのに、CICには完済情報が掲載されていないのはどうしてかということについてですが、おそらく次のようなことが原因だと思われます。
先に説明したように、JICCとCICでは、「FINE」という相互情報交流ネットワークがありますが、この情報交流は、あくまで「貸付け残高があるもの」に限られていて完済情報は含まれていません。
このため、利用していたカードローン会社が、「JICCに加盟しているがCICに加盟をしていない会社」であった場合、そのカードローンの残高がある間は、CICと情報共有されていますが、完済して残高がなくなった場合は、情報共有されなくなってしまうのです。現在、大手消費者金融のほとんどは、JICCもCICも両方加盟していますが、中小規模の消費者金融はJICCしか加盟していない業者がほとんどです。
このため、完済情報については、このようなことが発生するのも珍しいことではありません。
尚、JICCの完済情報も完済後5年経過すれば、抹消されることになり、完全に借入れした証跡は消えることになります。
【もうひとつの相互交流ネットワーク】
また、各信用情報機関は、JICCとCICの「FINE」以外にも、「CRIN」という仕組みで、JICC、CIC、全国銀行個人信用情報センターの3者間で、延滞などの情報、紛失、盗難、同姓同名の別人に係る本人申告コメント情報の交流も行っています。
わかりやすく言えば、
①JICC、CIC、全国銀行個人信用情報センターの3者間での情報交流は、延滞情報など限られた情報だけ。
②JCC、CICの2者間では、貸金業法に関係する情報は、残高などを細かい情報まで交流している。この3つの信用情報機関については、こちらの記事でも詳しく解説しているので参考にして下さい。
(参考記事:キャッシングに関する3つの信用情報機関)投稿者プロフィール
- 金融専門記者
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自らもかつて貸金業に従事。その経験を活かして現在は金融情報専門のライターとして精力的に活動中。幅広い人脈を活用した情報取集力には定評がある。
当サイトを含め多数のサイトで執筆を担当。
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