現在、家族に内緒でカードローンの利用をしています。もし、自分が死んでしまった場合は、家族に請求がいくことになるのでしょうか。
万が一、自分が死んでしまった時、カードローン等の借入れはどうなるのか心配している人は多いのではないでしょうか。
家族に内緒で利用している人であれば尚更でしょう。筆者がかつて、カードローン会社に勤務していた時も、このような質問はかなり多くあったと記憶しています。
ライターから一言まずは故人の借金がいくらあるのか調査することが必要です。
調査方法は記事を参考にして下さい。
【借金も相続される】
結論から言えば、カードローン等の借入れも相続されるので、相続放棄しない限り、家族等、相続人に相続されることになります。
このため、家族に内緒にしている人は、残念ながら亡くなった後は判明してしまう可能性は高いと思います。
しかし相続には、以下のような以下のような方法があり、相続人の状況で選ぶことが出来ます。- 単純承認:財産も借金も全て相続する。
- 限定承認:財産の範囲内で借金を弁済して相続する。
- 相続放棄:財産も借金も放棄する。
(相続人は、相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に、限定承認も相続放棄も行わなかった場合は、単純承認したことになります。)
仮に、返済しきれないほどの借金が残ってしまった場合は、相続放棄手続きをとれば、家族が返済に苦しむとうことは無くなります。※追記(2019年8月10日)
記事にも書いた通り相続放棄が出来る期限は民法上、「相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」です。
しかしこれまでは「相続財産は親などの死亡時に全て把握すべき」という考え方に基づいて、その起算日を「被相続人の死亡時」とする解釈が旧民法時代から有力でした。
そのような中、2019年8月9日、最高裁第二小法廷で、起算日を「相続を承継した事実を知った時」にすべきという歴史的な判決が下りました。現代は、核家族化が進み、親族間のつながりも減っているので、遺産状況をなかなか把握しきれない状態です。
そのような中、事実を知らない相続人に過大な負担をかけないとした判決として評価されています。【かつては生命保険の利用も多かった】
現在でも住宅ローン等の高額ローンは、死亡保険ついているのが一般的です。
同様に、かつては、消費者金融等の小口キャッシングも「消費者信用団体生命保険」に加入している会社が多くありました。
この保険に加入をしていると、死亡した際や一定の高度障害状態に該当する事態になった場合は保険金で借金の弁済がされることになります。また、保険料も通常キャッシング会社が支払いすることになっていました。しかし、金融庁の調査によると、自殺を原因とする消費者金融の保険金受取件数が全体の10%近くになっていたこともあり、
「命を担保に取っている」
「自殺に追い込んで回収している」
といった、社会批判を受けることにもつながりました。そのため現在では、加入している会社はほとんどありません。
尚、現在の貸金業法では、自殺を保険事故とする生命保険契約については原則、禁止されています。【相続順位】
相続には相続順位があります。ちなみに配偶者は常に相続人となり、それ以外の者は配偶者と共に以下の順位で相続します。
第一順位:子(配偶者1/2、子1/2)
第二順位:直系尊属(配偶者2/3、直系尊属1/3)
第三順位:兄弟姉妹(配偶者3/4、兄弟姉妹1/4)キャッシング会社は、仮に配偶者や第一順位の子供が相続放棄をしても、第二順位の直系尊属に請求をかけることも可能です。また第二順位が相続放棄したら、第三順位まで請求することも可能です。
現実的には、一番近い家族が相続放棄した借金を、第二順位や第三順位の相続人が相続することは少なく、請求をかけても徒労となることがほとんどです。
また、故人の全相続人を調査することもコストがかかります。
そのため第一順位の相続放棄が確認取れれば、それ以上は進まないことが多いでしょう。
しかし、法律上は、第三順位まで請求することは可能なので、追及されることもあり得ます。【もし家族が亡くなったら】
前述したように、キャッシングは家族に内緒で利用する人が多いので、故人の借金がいくらなのかを家族が知らないことが多くあります。
それを確認する方法として、指定信用情報機関への開示をおすすめします。
いわゆる「金融会社」以外からの借入れや、個人間での借入れのことまでは把握出来ませんが、正規の金融会社からの借入れであれば、およそ把握することは可能です。
各情報機関の公式ホームページでは法定相続人の開示方法を定めているので、詳しくはそちらを参照して下さい。
キャッシング関連
ショッピングクレジット関連
銀行関連
尚、この3機関は情報交流を行っているので、重複した情報もあります。よって、開示後はきちんと整理することが必要です。
※相続問題をどうすれば良いか、判断がつかない場合は、弁護士など専門家に相談することをおすすめします。
投稿者プロフィール
- 金融専門記者
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自らもかつて貸金業に従事。その経験を活かして現在は金融情報専門のライターとして精力的に活動中。幅広い人脈を活用した情報取集力には定評がある。
当サイトを含め多数のサイトで執筆を担当。
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